どっぷりインディアンでのバイクライフを楽しんでいたある日、突然余命宣告を受けとしたら…… 余命4日からのリハビリと復活
一時は完治したかに思われた睦美さん。しかし、再び試練の時が訪れます。 睦美さん「今年に入って再発と言われました。で、治療のため造血幹細胞移植をするんですけど、コーディネーターさんがハーレー乗りなんです。その方が「感染症だけは気をつけて、バイクに乗るために治しましょう」って。 病棟が12階だったんで、国道246号線が見えるラウンジからバイクが走ってるの見て、いいな、いいなって思いながら眺めてました。そしたら(奥さんが)一回バイクで来てね(笑)」 由美さん「バイクを家に置きっ放しで、でも、一人で移動させるのは不安だったんで、近くのバイク仲間に手伝ってもらったんですよ。ついでに病院に荷物を持って行かなきゃいけなくて、じゃあこのままバイクで行っちゃおうかって」 睦美さん「上からなんか見たことあるバイクが来たなって思って、チキショー!ですよね(笑)」 由美さん「見せつけるためにバイクで行ったわけではないけど、ある意味、それも良かったのかな。俺のバイクに乗りやがって、みたいな刺激させることが良かったかも」 睦美さん「うらやましいんだけど」って言って(笑)」 由美さん「乗りたきゃ早く退院しなって(笑)」 睦美さん「そん時は、嫌味かコイツって思いました(笑)」
今となっては、笑顔あふれる和やかなおしゃべりを繰り広げるお二人ですが、ほんの1年ちょっとのうちに起こった数々の出来事は忸怩たる想いがあったかと想像します。 ──今後の治療のあと、バイクでのご予定や夢などありますか? 睦美さん「群馬経由で日光、南会津。あとは渡良瀬渓谷とか。あとは白馬、長野です。一度、バイクで行く予定で計画してたんですが、出発直前に土砂降りになっちゃってクルマで行ったんです」 由美さん「まだインディアンで遠出っていう遠出はしてないんですよね」 ──もしご自身がバイクに乗っていなかったとしら今ごろどうされてたんでしょう。 睦美さん「想像つかないですね。うーん、どうしてたんだろ」 由美さん「最初の入院でバイクのことは一回、私の頭からは消えちゃったんです。でも、本人は「バイクに乗りたいから頑張るんだ」って言ってるから」
大げさでなく、確実に伊藤夫妻にとってのインディアンライフはお二人のかすがいとなり、生きる目標となっています。 由美さん「来年も行くんだもんね。インディアン・ライダーズデイね」 睦美さん「真夏だけどな(笑)」
小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)