“竜”の絶対守護神「マルティネス」は“鷹”に攫われるのか? 本人の意思だけで「移籍先を決められない」特殊事情
日本に感謝していたロドリゲス
ロドリゲスも22年、最優秀中継ぎ投手賞に選ばれた好投手だ。先発で結果が出せないでいたところ、当時の立浪和義監督(55)がリリーフに転向させた。成績だけを見れば、前年の1勝から「56試合登板39ホールド」に飛躍する大成功を収め、WBCでは先発を務めている。 「今年2月、ブルージェイズと『5年3200万ドル』で契約しました。MLB公式サイトによれば、今季年俸は800万ドル(約11億2000万円)となっています。昨年10月、中日球団が自由契約の手続きを済ませると、MLB30球団に案内状を出してスカウトの前でピッチング練習を披露し、いくつかの球団と交渉してブルージェイズ入りが決まりました」(前出・同) ブルージェイズと契約した決め手は「先発起用」だった。だが、今季は21回の先発マウンドに立ったものの、成績は1勝8敗。防御率も4点台と振るわなかった。前出の米国人ライターによれば、同誌がロドリゲスを取り上げた目的には、日本で「先発がやりたいのに、中継ぎにコンバートさせられた恨み節も聞けるのではないか」という“冷やかし”もあったという。しかし、ロドリゲスはこう語っていた。 「日本については多くのことが恋しくなる。本当に穏やかな国で、球場内は規律が常に保たれていた。日本にはたくさんの野球ファンがいて、彼らは継続して頑張る力を与えてくれた」 また、危険を冒してまでドミニカ共和国への亡命を果たしたことについても語っていたが「日本は素晴らしい国だ」と繰り返し前置きしてから、 「ここ(メジャーリーグ)には自分が求めていた環境がある。多くのラテン系の選手とプレーできる雰囲気が良いし、何よりスペイン語を理解できる人が多い。日本にはスペイン語を話す人はほとんどいなかったから、ここが私にとって最高だ。妻と息子も一緒に暮らせる」 中日時代の中継ぎ転向に恨みはなく、言語の問題や単身赴任以外では何の不満もなかったというわけだ。 「キューバ野球連盟は『Pelota Cubana USA』誌をチェックしています。ただ、マルティネスの中日残留にどれだけの影響力を与えるかは分かりませんが……」(前出・同) 米サイト「Beisbol FR」ではプレミア12大会の紹介記事のなかで、マルティネスの去就問題にも触れ、「DeNAか、ソフトバンクに派遣先が変わるだろう」とも伝えていた。なぜ、ソフトバンクなのかの具体的な根拠は示されていなかったが、NPB球団のスタッフはマルティネスの去就を巡る一連の情報についてこう説明していた。 「派遣先を決めるのはキューバ政府であって、デスパイネのように選手の意向は必ずしも反映されません。発表されているマルティネスの推定年俸の2億円にしても、大半は政府が持っていくと言われています。マネー戦争になったらソフトバンクが優勢ですが、中日は多くのキューバ選手と育成契約を交わし、育ててきました。ロドリゲスの記事と合わせ、キューバ政府がそこをどう評価しているかで決まると思います」