「漢字を書けない生徒」が目に見えて増えている、その理由とは? 中学受験の現役講師たちに聞く
都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。中学受験塾・希学園首都圏の学園長で国語科専任講師を務める山﨑信之亮(やまさき・しんのすけ)さんと対談し、中学受験の国語で成績が伸びづらいケースが多い理由や、その背景にある問題について聞きました。 【マンガ】中学受験は合否だけじゃない。母に贈った一輪の花に息子が込めたメッセージとは(全42枚) ■中学受験で算数ばかり重視されるのはなぜ? ――中学受験において、最重要科目は「算数」であると言われる傾向にあります。なぜなのでしょうか。 茂山起龍(以下、茂山) 僕も中学受験において最重要科目は何か、と聞かれたら迷わず「算数」と答えています。受験者平均点と合格者平均点の差が最も大きいのが算数である、というのはデータにも表れていますから、最も合否に影響力を持つのは算数となります。 「算数が大事だ」という話をすると、「いやいや、国語も重要だ」という反論にも近い声が聞こえてくることも事実ですが、個人的には算数の重要性と国語の重要性は別にして考えるべきではないか、という思いもあります。 山﨑信之亮(以下、山﨑) 算数を得意とする生徒が国語を苦手としているケースが多いから「算数だけでは戦えない」という思いもあるのかもしれないですね。先ほどの「データにも表れている」という茂山さんの言葉を補足すると、算数は専門性が高い科目であるうえ、例えば算数で大問が5問で100点満点という場合、1問飛ばすと20点が吹き飛ぶわけですから、1問で点差が大きく開く。 国語を教える講師としてなにが悲しいって、国語は塾で習わなくたって0点にはならない科目なんです。国語が得意な子は、きっと一生国語が得意なままでしょう。同時に、国語の教え方は難しいとも感じます。算数、理科、社会は分野がはっきりしているので、分野ごとに取り組んでいけばいい。やればやった分だけ点数に結びつく科目です。対し、国語はいわゆる“分野”は「ないことになっている」。苦手であることの明確な理由が本人も周囲もわからないから、苦手な生徒が手をつけられない科目になってしまう。