鮭の色素の抗酸化力はビタミンCの6000倍! 加齢に伴う悩みには魚が効く
加齢とともに気になる老化や抗酸化、生活習慣病といったキーワード。これらの不安や悩みを解消するスーパーフードこそ魚。鮭やタイに含まれる赤い色素、アスタキサンチンには超強力な抗酸化作用、水産物に含まれている機能性成分の一つであるタウリンには、生活習慣病や視力の衰え予防など…その機能性の高さに思わず手が伸びるはず。[取材協力/西塔正孝(女子栄養大学栄養学部教授]
赤い色素アスタキサンチンで抗酸化
エビやカニなどの甲殻、タイの体表、サケやマスなどの筋肉中に含まれる赤い色素成分、アスタキサンチン。最初はロブスターから抽出されたもので、それが単なる色素ではなく強力な抗酸化作用を発揮することが明らかにされたのが1980年代。その抗酸化力たるや、グラフをご覧の通りビタミンCの約6000倍というから驚きだ。 ヒトはアスタキサンチンを作ることができないので、主に海藻を原料とするサプリメントから摂取するようになり、現在に至る。期待できる作用としては、光による肌の酸化ストレスの抑制、免疫機能の向上、また生活習慣病の原因となる酸化による炎症を軽減するといった報告もなされている。 サケは朝食のお供やおにぎりの具でチョイス、赤いタイを加熱調理する際はできるだけ皮ごといただこう。
アスタキサンチンの一重項酸素に対する抗酸化力
一重項酸素とは反応性が極めて高い活性酸素のことで抗酸化力の評価として用いられる。アスタキサンチンは抗酸化物質の中でも抜きん出て抗酸化力が高い。
一般的な食品などに含まれるアスタキサンチン含量(mg/kg)
ヘマトコッカス藻はヒト用途のアスタキサンチンの原料。
コラーゲン補給は皮を狙え
魚の目の裏のどろっとした部分、昨夜の煮魚の汁の煮凍り、これらは複数のアミノ酸で構成されたタンパク質の一種、コラーゲン。 「肌の保湿や軟骨の強化といったコラーゲンのヒトに対する機能は個人差が大きいのですが、将来的にたくさんのデータが整理できればクリアな結果が出るだろうと思っています。ただ、人間の皮膚や骨を形成しているのはコラーゲンで、それを食べることで分解されたグリシンやプロリンなどのアミノ酸がまたコラーゲンを形成するという循環はあるはず。魚からそのコラーゲンを摂ることは有効だと思います」 コラーゲンは必要な場所に運ばれ、そこで機能するというのが現在の見解。畜肉にも含まれるが、ビタミンDやDHAなど他の栄養素も同時に摂れる魚で補給したい。皮付近の身に多いので、皮ごとどうぞ。