鮭の色素の抗酸化力はビタミンCの6000倍! 加齢に伴う悩みには魚が効く
酒飲みの必須栄養素、魚介のタウリンに頼れ
水産物に含まれている機能性成分のうち、その働きが証明されているものはある程度限られている。疲労回復作用で知られるタウリンは、その貴重な機能性成分のひとつだ。主な補給源はイカやタコなどの軟体類、サザエやカキなどの貝類、エビやカニなどの甲殻類、マグロやサバの血合肉などなど。 最も有名なのは肝臓の解毒能力をサポートする働き。二日酔い対策の栄養ドリンクの中に合成されたタウリンが配合されているのは、その働きを期待してのこと。この他にも血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす、血圧を調節する、インスリンの分泌を促して糖尿病を予防する、視力の衰えを防ぐといったさまざまな作用があるとされている。 アルコールを飲む機会が多い、または生活習慣病予備軍は意識して魚介類を食べる機会を増やすべし。
覚えておきたい調理法別の栄養変化
海の中を泳ぎ回っていた魚たちが漁師に水揚げされ、市場で取引され、今日もみんなの食卓に上る。魚のパワーを丸ごといただくなら、もちろん生食がいいに決まっている。でも、消化吸収能力が低いときには加熱して食す方が効率的。 それに加熱調理で水分が抜ける分、少ない量でもビタミンや脂肪酸をしっかり補給することができる。ただ、気をつけたいのはあまり加工しすぎないこと。たとえばマアジの場合、開きを焼いたら光や加熱によってビタミンDが壊れてしまう。アトランティックサーモンもソテーよりグリルで焼いた方がビタミンDが多く含まれる。自分で調理するときはもちろん外食や中食の際も、その日の体調と摂りたい栄養素を考えて調理法を選びたい。
調理法による栄養素の変化
同じ100gなら加熱調理をして水分が抜けるほど、タンパク質や脂質などの栄養素の比率は高くなる。例外もあるが、基本的にビタミンDは加工すればするほど減る。
取材・文/石飛カノ(初出『Tarzan』No.873・2024年2月8日発売)