子どもの不登校は母親の責任? 吐き出せない気持ち…私だってつらい 「駄目人間になる」「甘やかすから」…無理解で理不尽な家族に苦悩
母親は家で子守をするもの? こぼれる涙
2人からは「子どもは学校に行く苦労をするもの」「母親は家で子守をするもの」という固定観念を強く感じる。「こうしたことは言葉の暴力だと思う」。田村さんはこぼれる涙を拭った。
ある日突然「私、学校に行かない」
夫婦共にフルタイムで働いているが、不登校が始まる前から育児はずっと「ワンオペ(1人だけでやること)」だった―。松本市の公務員上西夏帆さん(51)は日常生活に限界を感じている。中学3年の娘桂代さん(15)は4年前のある日、「私、学校に行かない」とだけ言って通学しなくなった。それから2年後、桂代さんは「友人からはぶられた(仲間外れにされた)」とこぼした。
まさか自分の子に起こるとは…親だってつらい
「まさか自分の子に起こるとは」。突然始まった不登校への戸惑い、原因を親や子のせいにされる学校側への不信感、いじめた同級生が普通に地元の学校に通えていることへの憤り…。気持ちを吐き出す場は家庭にはなかった。「よく不登校関係のメディアに『一番つらいのは子ども本人』と書いてあるけど、親だってつらい」
子どもにあまり関心がない夫
子どもの居場所や家庭教師、通えそうな中学校探しも、桂代さんの希望がかなうよう全て自分で手配した。普段から言葉が少ない夫は子どもにもあまり関心がない。夫婦間の会話はほとんどが「事務連絡」だ。年数十万円単位でかかる交通費や教育費の多くは夏帆さんが出している。
母親が甘やかすから?
実母は「母親が甘やかすからだ」と言う。学校に通うことが「当たり前」という価値観を持つ上の世代や無関心なパートナーを前に、夏帆さんはせわしい日々を送っている。 (文中仮名)