47歳で死去「出版王・蔦屋重三郎」の謎多い人生。江戸を舞台にした大河「べらぼう」が始まる
私の勝手な予想ですが、ドラマにおいて定信はどちらかといえば、「悪役」として描かれるような気がします。今回どのように描かれるのかも、注目です。また『べらぼう』では、これまで大河で描かれなかった人物が多数登場すると思います。 さて、重三郎は、洒落本・黄表紙などを出版しただけではなく、浮世絵版画も出版。東洲斎写楽・喜多川歌麿といった現代においても有名な浮世絵師の浮世絵版画を出版するのです。 こうした謎めいた人物との絡みをどう描くのかということも注目されます。重三郎の成長と挫折、そして関連する人物、時代背景を丁寧に描いていくことによって、奥行きのあるドラマとなるように思います。
■新人発掘の名人とも言われた 滝沢(曲亭)馬琴、十返舎一九、喜多川歌麿、東洲斎写楽など多くの才能を世に送り出した重三郎は「新人発掘の名人」とも称されます。魅力的な人物であったとも言われており、横浜流星さんがその魅力をどのように演じるのかも見所の1つでしょう。 江戸一流の出版社として実績を残した重三郎。ですが、その生涯は短いものでした。重三郎の没年は、寛政9年(1797)。47歳で病死してしまうのです。薄命そして地味目の人物の生涯を1年間かけて、どのように描いていくのか。これは、脚本家の手腕が試される場であると思います。
(主要参考引用文献一覧) ・松木寛『蔦屋重三郎』(講談社、2002) ・鈴木俊幸『蔦屋重三郎』(平凡社、2024)
濱田 浩一郎 :歴史学者、作家、評論家