SF作家の安野たかひろさん・編集者の黒岩里奈さんと語る、Z世代以降の働きかた。システムの問題とどう向き合う?
「デジタルデモクラシーの領域で継続的にやっていきたい」安野さんの今後
―安野さんの今後について、小説の次回作も書いてほしいですし、都知事選にまた出られるのか、区長選もありえるのかなど、気になっています。いまの考えや展望を聞かせてください。 安野:まだ確たる答えはない状態で、いろんな方にいろんな意見を聞きながら考えている状態です。そのなかで言えるのは、今回の選挙を通じて日本から世界に先駆けてデジタル民主主義を実践してより良い社会をつくる可能性をすごく感じたので、デジタルデモクラシーの領域で何かをやることは継続的にやっていきたいと思ってます。 自分が選挙に出るのかそうでないかは、いろいろな選択肢がありますし、出ないとしてもたとえば行政の中や外から手伝うというやりかたもある。いろんな活動が考えられるなかでどうするか、これから探っていこうと思ってます。 ―安野さんは、今回だと選挙を通して、小説家だと小説を通して、起業家だと事業を通して、あらゆる手法でテクノロジーの可能性を示していると思いますが、何か一番手応えがあるものってあるのでしょうか? 安野:何人に届くかという話で言うともちろん都知事選みたいな政治の話は大きくなりますが、昔『M-1グランプリ』にも出たんですが、ロボットと漫才をしたこともありました。それはその会場にいる100人くらいにしか届かないものだったんですが、スケールによらず、それぞれいいなと思っているんです。 それぞれ別のやりがいや楽しさがあって、つらいこともある。そのなかでどれが一概に、一番自分にとって良いのかというと、そんなにないんです。こだわりがないがゆえにいろんな領域を横断していて、それがいまのところはいい方向にも働いてるのかなと思います。 ―安野さんは、今回の選挙システムをほかの政党や候補者も使ってもらって構わないと言っていて、オープンソース的な考えかたが根っこにあると感じます。そういう精神はどこにルーツがあるんでしょうか? 安野:大学生のときにサンフランシスコに長期インターンをしていたんですが、スタートアップやオープンソースのソフトウェアみたいなものがたくさん生まれているような環境を見たことが影響しているのかもしれません。 オープンになることによっていろんな人が自分なりの貢献をできるようになったり、みんなの知恵が集まったりする。あるいはつくられたものをいろんな人が使うことによって、より社会全体へのインパクトが最大化できる。総合的な判断としてオープン化が必要なんだと思います。 ―「チーム安野」のこれからについて、里奈さんはどうですか? 黒岩:これからも推進していきたいなと思っています。チーム安野と言われているいまの100人がどんどん増えていくと思うんです。それは人数という意味でもそうですし、できることも増えていくと思うので、私も一員として今後もやっていけたらなと思っております。
インタビュー・テキスト by 生田綾 / インタビュー by 南麻理江