【日本市況】債券は大幅高、日銀の利上げ観測が後退-円安推移で株高
(ブルームバーグ): 24日の日本市場では債券相場が大幅高となり、長期金利は約1週間ぶりの水準に低下した。日本銀行の植田和男総裁が20日の金融政策決定会合後の会見で追加利上げを急がない姿勢を示したことを受けて、引き続き買いが先行している。
円相場は対ドルで143円台後半と円安方向で推移し、テクノロジーセクターを中心に企業業績に対する楽観的な見方が広がった株式相場は続伸。
日銀の植田総裁は20日の会見で、経済・物価見通しが実現すれば利上げを継続する考えを改めて表明する一方、政策判断には時間的な余裕があるとの見解を示した。同総裁は24日、大阪経済4団体共催懇談会で講演し、午後4時から記者会見を行う。
債券
債券相場は大幅高。早期の追加利上げ観測が薄れ、長期金利は約1週間ぶりの水準に低下した。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、植田総裁が次の利上げまで時間がある、対話すると述べたことで10月、12月の利上げは難しくなっていると指摘。「早期利上げを警戒してヘッジで売られていた中短期債が買い戻されている」との認識を示した。
財務省が24日に実施した残存期間1年超5年以下の流動性供給入札の結果によると、応札倍率は3.81倍と7月22日の同年限の前回入札3.26倍を上回った。最高落札格差はマイナス0.041%、平均利回り格差はマイナス0.043%と、市場実勢比で堅調だった。
日本債券:流動性供給の過去の入札結果(表)
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは10月のサービス価格改定や来年の春闘に関する情報を十分に得られる前に日銀が利上げに動く可能性は低いと予想。10月に動くのは「円安が急速に進み、日銀に待つ余裕がなくなった場合に限られそうだ」とみている。
外国為替
東京外国為替市場の円相場は143円台後半で上下する展開。中国が主要短期金利や銀行の預金準備率の引き下げなど広範な景気刺激策を発表したことを受けて、投資家心理が改善、円売りが強まる場面がある。