【日本市況】債券は大幅高、日銀の利上げ観測が後退-円安推移で株高
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、円相場は「中国の金融緩和策で一時的にリスクオンの反応になったが、ベースにある中国経済への懸念が払拭(ふっしょく)されているわけではなく、明確な方向感が出ていない」と言う。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、前週末の日銀会合を受け、海外投資家の間で正常化の歩みが遅くなるとの観測や自民党総裁選で高市早苗経済安全保障担当相が選出された場合に緩和姿勢を続けるのではないかとの見方が出ており、円売り圧力が続きやすいと話した。
株式
東京株式相場は続伸し、日経平均は節目の3万8000円台を回復した。日銀総裁の発言を受けて為替相場が円安方向に振れたほか、前日の米国株高を受け投資家心理が改善している。
電機や機械、精密機器などテクノロジー関連、海運や非鉄金属など海外景気敏感セクターが買われ、大雨災害の復旧需要の拡大観測から建設株も高い。ただし、朝方の買い一巡後は伸び悩み。陸運やサービス株など内需セクターの一角が安く、国内金利の低下を材料に銀行株もさえない。乳がん治療薬候補の治験で有意差が確認できなかった第一三共など医薬品株も軟調。
SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリストは「円安や米株高を手がかりに上昇しているが、こうした材料が消化されれば上値が重くなりそうだ」と指摘。日本市場でも半導体関連への買いは弱い印象だとし、相場の足かせになっていると述べた。
--取材協力:長谷川敏郎.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Hidenori Yamanaka, Daisuke Sakai, Yasutaka Tamura