「南海トラフ臨時情報」への対応を検証せよ 経営層が備えるべきBCP「4つの視点」
盆休みが目前に迫った8月8日午後4時42分、宮崎県日向灘を震源とするマグニチュード(M)7.1の地震が発生した。これを受け、気象庁は同日午後7時15分、南海トラフ地震など今後の巨大地震への注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を、2019年の制度開始以来、初めて発表した。企業は、臨時情報に対し、どのように対応したのか。どのような課題が生じたのか。早急に検証することが求められる。 【スライドで見る】経営層が備えるべきBCP「4つの視点」 内閣府は2023年7~10月にかけ、国が「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定している地域住民を対象に、臨時情報の理解度をアンケート調査している。それによれば、臨時情報を「知っている」と答えたのは28.7%で、7割強が理解していない実態が浮き彫りになった。 企業はどうか? 危機管理とBCPの専門メディア「リスク対策.com」が2023年10月に企業向けに実施した南海トラフ地震臨時情報に対するアンケートでは、44.2%が臨時情報について「ある程度理解している」、17.3%が「具体的に内容を説明できる」と回答した(グラフ1)。市民に比べると、理解度は高いものの、具体的な対応計画については「策定しない、予定もない」との回答が46.5%と半数近くを占めた(グラフ2)。 こうした数値を見る限り、多くの人にとって南海トラフ地震臨時情報は、それほど重要な情報とは考えられていなかったことが推察される。 確かに、南海トラフ地震の発生の確率が相対的に高まったとはいえ、その根拠は科学的にも薄弱だ。政府は、相対的に高まっている理由として、世界の地震データを取り上げ、M7の地震後、7日以内にM8以上の地震が起きた例は1437回中6回とした。が、その統計も海溝型だけでなく、内陸地震のものもあり、さらに、観測精度についても裏付けに乏しい。 ただし、本当に南海トラフ巨大地震が発生したとしたらどうなるのか。