噛ませ犬か?RIZIN版ロッキーか?朝倉未来の大晦日再起戦はなぜ王者ではなく前王者のドミネーターになったのか
「まじめな話、(朝倉は)強い選手です。前回、斎藤選手に負けて幻想みたいなものが崩れたかもしれないですが、単純に強い選手の姿が浮き彫りになった。全力で応えたい。早い段階で喧嘩ができればと思っています。たまには喧嘩させてください。もちろん勝ちます。KOで」 大手メーカー勤務の”リーマン格闘家”は一人置いて隣に座っていた朝倉に対し物怖じすることなくKOを宣言した。「喧嘩」とは壮絶な打撃戦を想定しているのだろう。 朝倉も表情を変えずに応戦した。 「自虐か分からないですが、会社員だとか言っているんですけど、俺のほうが忙しい中で格闘技をやっている。(でも)なめてかからないように、しっかり準備して試合に臨みたい」 そしてリスペクトもつけ加えた。 「できれば(DEEPの新)チャンピオンとやりたかったが、試合は見た。拮抗していて、同じくらいの強さというイメージ。どちらでもいいかなと思っている。(ドミネーターは)ずっとチャンプだったし、本番で強い選手だと思う」 朝倉が抱いた疑問もわかる。なぜ現王者の牛久ではなく陥落したばかりのドミネーターになったのか。しかも格闘技ファン以外には無名のファイターである。その理由について榊原CEOが説明した。 「牛久というチャンピオンか、ドミネーターか、というところで考えた。未来とならはねるというか、地上波のある大晦日でスケール感のある試合ができるのはドミネーター。ベルトのあるなしにかかわらず、2人によって繰り広げられるであろう試合展開をイメージしたとき、キャラもファイトスタイルも含めてドミネーターの方が評価してもらえる可能性が高いと考えた。(自分の)役割をわかりつつも大きなチャンスだと理解している。侮れない。(未来の)クビをとって有名になってやろうと大きな野心をもっている選手が(ドミネーター以外にも)たくさん待っている」 ドミネーターは9月のタイトル戦で1-4の判定で王座から陥落したが、そこまで8連勝。DEEPのフェザー級のトップランカーであることは間違いない。打撃も寝技もできるオールラウンダーだが、時折、構えをスイッチしてくるトリッキーなスタイルでパンチには一撃で試合を決める威力があり、サッカーボールキックで仕留める残酷さも持ち合わせている。寝技では足で首を決める洗濯ばさみが得意技。国立大出身のクレバーさも武器のひとつ。朝倉同様に戦略家でもあるドミネーターをマッチメイクしたRIZINの狙いも理解できる。 名より予想される実を取ったというわけだ。