日本の自動車メーカー、本当に「14社」も必要? ホンダ×日産経営統合が示す、希望ある再編の未来とは
海外メーカーの事例
ここで、海外自動車メーカーの巨大グループであるフォルクスワーゲン・グループとステランティスの事例をみてみよう。 フォルクスワーゲン・グループは、フォルクスワーゲンを筆頭に、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、シュコダなどを擁し、2023年は自動車販売台数2位にランクインしている。グループとしては、ヨーロッパ17か国のほか、北米、南米、アジア、アフリカの10か国に114の生産拠点があり、それぞれの市場に対応した自動車を生産。グループ内で小型車から高級車までセグメントごとのプラットフォームの統一を図っているところだ。 もちろん、ソフトウェア開発、バッテリー・エネルギー戦略、自動運転や各種サービスといったモビリティソリューションなど、多岐にわたる分野をグループで推進中だ。自動車販売台数の推移をみると、2010年の約7000千台から成長をつづけ、2019年に10956千台のピークを迎える。以降は、コロナ禍や半導体不足により減少に転じ、2023年に回復したものの9362千台にとどまっている。 最近ドイツでフォルクスワーゲンの工場閉鎖が話題になっているが、これは個別ブランドとしてのフォルクスワーゲンの問題だ。ただ、背景にはドイツ国内でのエネルギーや人件費などの高コストな自動車生産体制があり、日本国内の自動車産業も他人ごとではない。 ホンダと日産の経営統合に関する海外の記事では、直近の事例としてステランティスが取り上げられている。ステランティスは、2021年にフランスの自動車メーカー PSAグループとイタリアおよび米国の自動車メーカー フィアット・クライスラー・オートモービルズにより設立されたマルチブランドグループだ。グループは、アルファロメオ、シトロエン、フィアット、ジープ、オペル、プジョーなど14のブランドを擁している。 2023年は、トヨタ、フォルクスワーゲン、ヒュンダイに次ぎ世界販売台数第4位だった。2023年こそ、乗用車および商用車販売の好調によりグループの売上高が5.9%増加したが、2024年の1~6月期の世界販売台数は10%減少。12月1日には、カルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)の辞任が発表された。取締役会との見解の相違や、販売不振が原因ともいわれている。経営統合しても、グループをまとめきれなければ不安定な状況が続くこととなる。