日本の自動車メーカー、本当に「14社」も必要? ホンダ×日産経営統合が示す、希望ある再編の未来とは
トヨタG vs ホンダ+日産+三菱自
ホンダと日産、および三菱自の経営統合が実現すると、 「トヨタグループ vs ホンダ+日産+三菱自」 の二大勢力となる。実のところ、現時点においてもトヨタは、ホンダ、日産、三菱自を除いたほとんどの会社と、以下のような資本関係がある。 ・100%出資子会社:ダイハツ ・業務資本提携:スバル、マツダ、スズキ、ヤマハ、日野、いすゞ このように、すでにトヨタ中心とした一大グループが出来上がっており、ホンダ、日産、三菱自(日産と業務資本提携)がトヨタか外国資本の軍門に下らないかぎり、まとまるのは自然な流れだったのかもしれない。 今後は、ホンダ+日産+三菱自で、EV開発やモビリティサービスでのシナジー効果を発揮し、ホンダの四輪車に加え幅広い分野における技術力、日産の電動化ノウハウ、三菱自のSUV・4WD技術およびアセアン市場といった各社の強みをどこまで活かせるかにかかっているといえよう。
メーカー再編の課題とリスク
自動車メーカー再編は、ある意味“劇薬”であり、課題とリスクが残るのはいうまでもない。そもそも、ホンダ、日産、三菱自ともに、企業文化や従業員のプライドといったマインド面も大きく異なっている点が気になるところだろう。しかし、持ち株会社方式により経営統合する見込みであり、各社の独自性は確保できる見通しだ。 問題は、経営資源配分やグループとしての経営戦略をどこまで落とし込めるかにかかっているといっていい。また、グループとして効率化をすすめるにあたり、重複する業務や研究開発、グループ会社、あるいは下請け会社やサプライチェーンまで整理するとなると、大規模なリストラの可能性も秘めている。 また、企業の統合では、常に独占禁止法の懸念がつきまとう。ホンダ、日産、三菱自の経営統合による市場に与える影響は未知数であるが、少なくとも競争単位の減少による競争制限的な企業結合とはならないだろう。 とはいえ、独占禁止法の私的独占や共同の取引拒絶、優越的地位の濫用(下請法違反)といった行為に抵触しないように、グループとしての取り組みがより一層求められる。