2025年度のIT支出を増やす意向の企業が過去最高に--NRI調査
野村総合研究所(NRI)は11月27日、国内企業のIT活用実態に関する年次調査の最新版を発表した。それによると、2025年度のIT投資を前年度より増やすとした企業が過去最高になったという。 調査は、大手企業の最高情報責任者(CIO)やCIO相当の役職者を対象に、2003年から毎年行っているもの。最新調査は9月に実施し、529社から回答を得た。 まずIT投資動向では、2024年度に自社のIT投資が前年度に比べて増加したとの回答が59.0%、減少の回答は6.9%で、多くの企業がIT投資を増加させている傾向にあった。また、2025年度の自社のIT投資では2024年度から増加すると予想した企業が53.3%に上り、これまでの調査で最も高い割合になった。一方で、減少するとの予想は7.4%だった。 また、デジタル化を推進する部門を持つ企業(全体の70.4%)を対象に課題を尋ねたところ、上位は「社内人材のデジタル化対応の向上(質的・量的)」(64.1%)、「アナリティクス/AI/データ活用のための基盤整備」(49.5%)や「アナリティクス/AI/データ活用の実証と適用」(46.1%)だった。いずれも2021年度調査の結果に比べて上昇しており、同社は「着実に取り組みが進展している」と指摘する。その一方で、「自社のビジネスモデルの変革」が2021年度の45.5%から2024年度には33.0%に減少し、デジタル化推進部門の役割がDXの企画・けん引からリソースやインフラの整備に軸足を移している傾向が見て取れるという。 さらに、生成AIについて、オフィスワークへの適用とビジネスの業務領域別の適用を尋ねたところ、オフィスワークへの適用では「文章の作成、要約、推敲(すいこう)」が55.8%で最も多く、以下は「情報の探索、知識や洞察の獲得」(52.3%)、「音声情報を活用した資料作成」(39.6%)などだった。ビジネスの業務領域別の適用では、「社員やスタッフのサポート」が21.1%で最も多く、社内業務から適用を進めたい意向がうかがえるとしている。 AI活用に伴うリスクへの対応(複数回答)では、「AI活用に関する国内外の法令やガイドラインなどを調査している」「AIが関わるシステムを利用する際のリスクに対処するための、社内規則やガイドラインを定めている」「AIを活用する際に考慮すべき原則を記した基本的な方針を定めている」がそれぞれ4割を超えていた。 しかし、「AIが関わるシステムをサービスとして提供する際のリスクに対処するための、社内規則やガイドラインを定めている」は17.9%にとどまり、NRIは「多くの企業がAI利用を前提とした整備を進め、AIを活用したシステムに基づくサービス提供を想定している企業は少ない」と指摘している。