2024年の首都圏中学入試は、読解力や分析力が重要に! 森上教育研究所の分析会をレポート
理科は時事問題やトレンドの用語が問われる
理科の入試問題の分析では、Tサイエンスの恒成国雄さんが登壇。全体として細かい知識を聞く問題は減り、問題文やデータを読み取って処理する問題が増えている。その場で問題文を読み込み、データを理解し、計算や考察をしていくような、見たことがないタイプの問題が増えているわけだ。説明文、図、グラフなどのデータが提示され、それをきちんと読み取る能力が求められる。理科の知識問題は減少傾向にあるが、塾で過去問をやり込んでいれば解ける「パターン問題」も減っている。たとえば、最難関の開成の理科では受験生が全員正解を答えられる問題が出て、理科では差がつかず、算数で合否が決まっているように思われる。 次に時事問題だ。社会ほどではないが、理科でも時事的なテーマが出題される。今年、出題が多かったのは地震と暑さである。特に今年は地震がテーマの出題率が多かった。2023年5月5日、能登地方で発生した地震の影響があったと推測される。緊急地震速報が発表されてから何秒後にS波(大きい揺れ)が到着するかという問題が多く出題された。暑さに関しては、フェーン現象の風下側の気温を求める問題や、湿球温度換算表を利用する問題(乾球温度計と湿球温度計の温度差から湿度を求める)やWBGT(暑さ指数…乾球温度計・湿球温度計・黒球温度計による計測値を使って計算する指数)に関する問題が増加した。 よく問われた用語としては、2023年6月に条件付特定外来生物に指定された「アカミミガメとアメリカザリガニ」。2年ほど前から急激に出題が増えている「線状降水帯」(発達した雨雲が連続発生して列をなし、一定の時間、同じ場所を通過もしくは停滞して作り出される、線状に伸びる強い降水域)。そのほか「ヒートアイランド現象」「食物連鎖」「カーボンニュートラル」「エルニーニョ」「ラニーニャ」「ハザードマップ」などが挙げられる。 恒成さんは和洋国府台女子1次で出題された「スペースデブリ」について、教え子が知っていたので何故かと聞いてみたところ、「アニメのガンダムを見て知った」と話したとのこと。受験勉強だけではなく、普段の「遊び」の中にも知識を深めるような内容が潜在しているようである。
まとめ|中学受験における入試問題のトレンド
全体としては、知識を問うのではなく、読解力や分析力・判断力を問う傾向がより強まっている。小学生の読解力の低下が話題になる中で、中学受験ではどんどん高い読解力を求めるようになっているので、それに向けた対策がより大切であることが分かった。
ダイヤモンド教育ラボ編集部