北朝鮮、多弾頭ミサイルの実験成功と主張-韓国は失敗と分析
(ブルームバーグ): 北朝鮮は、最高指導者・金正恩朝鮮労働党総書記が目標とする、核攻撃能力を高める技術の獲得に向け、多弾頭ミサイルシステムの実験に成功したと主張した。
国営朝鮮中央通信(KCNA)は27日、実験では、中距離弾道ミサイルの第一段エンジンを使い、分離された弾頭が3つの標的に誘導され、おとりの弾頭も展開されたと報じた。KCNAはミサイルの発射と、配備された弾頭が写った写真を3枚公開した。
韓国軍は26日、北朝鮮が同日発射したミサイルについて、飛行中に空中爆発し、米韓の情報当局が何が起こったのかを調査していると発表した。
北朝鮮はこれまでも、ミサイル発射実験が成功したとの疑わしい主張をしてきた。金総書記は複数の弾頭を同時に発射し、複数の目標を攻撃できる能力を持つ目標を掲げる。こうすることで、弾頭の迎撃はより困難になり、少なくとも1つは標的に着弾する可能性が高くなる。
米軍縮・非拡散センターによると、この技術は複数個別誘導再突入体(MIRV)と呼ばれ、1960年代に開発された。同センターは、「MIRV技術の開発は容易ではない。大型ミサイル、小型弾頭、正確な誘導技術、飛行中に弾頭を順次放出するための複雑な仕組みを、組み合わせる必要がある」としている。
ロシアは数十年前からこの技術を持っている。北朝鮮の今回のミサイル実験により、露朝の軍事関係の深化が、金総書記のMIRV計画を支援するための技術移転を伴うのではないかとの懸念が高まっている。先週、ロシアのプーチン大統領は24年ぶりに北朝鮮を訪問し、攻撃を受けた際には互いに援助し合う「包括的戦略パートナーシップ条約」で金総書記と合意した。
米国と韓国、日本は、この条約が重大な懸念であり、地域の安全保障を脅かすものであるとして非難した。米国とその同盟国は、北朝鮮が経済と軍事力を強化する可能性のある技術支援と引き換えに、ウクライナでの戦争を支援する数百万発の弾薬を送ったとして、金総書記を非難している。