なぜJRA調教助手らの1億円を超える持続化給付金の集団不正受給疑惑が起きたのか…背景に“黒幕”の存在
関係者の話を総合すると、実は、裏には“黒幕”がいた。某有力馬の馬主でもあり、競馬界に深く通じている税理士が指南役になっていたという。 昨年から集団不正受給の噂が競馬界を駆け巡っていた。昨年11月に日本調教師会は「コロナによる経済的な影響は、ほぼ皆無」と、調教助手らを雇う東西トレセンの調教師に通達。仮に従業員が不適切に給付金を受給していた場合は返還するよう求めたという。 ある調教師が舞台裏を明かしてくれた。 「スタッフを集めて、尋ねてみると私の厩舎でも受給していた人が1人いた。いいことではないけれど、12月までに返納すればOKとのことだったので、返してもらった。ただ、今回、明るみに出たケースでは税理士事務所に返そうと相談したら”返さなくていい”と指示されたとのこと。悪質と感じた」 指南役とされる黒幕が、度重なる返金相談にも「返さなくていい」と突っぱねていたというのだ。 また60代の男性厩務員は、給付金を受け取った知り合いの厩務員の話として、5月ごろに税理士側から電話や書面で、「給付の対象で満額が給付される可能性が高い」との勧誘があったと言う。 「ふだんからお金のことを税理士に”丸投げ”している人も多いので、そういうことなら税理士さんにお任せしますとなったという。その後、100万円が振り込まれ、喜んだと言うより、驚いて100万円は置いたまま使わなかった人がほとんど。秋口になって不安になり、返そうとしたら返さなくていいと言われ、押し問答になったケースも。自分で返した人もいますが、返していない人もいる」 大きな金が動き、その管理を税理士に“丸投げ”しているという競馬界の体質も今回の事件の土壌にはある。 その指南役とされる税理士は、成功報酬として、一人に対して10%にあたる10万円程度を得ていたという。不正受給者は100人以上、総額1億円以上と言われるが、そのほとんどが関東の美浦トレセンではなく、関西の栗東トレセンに所属していた。というのも、この税理士が、厩舎の顧問税理士になるなど、息の掛かった調教助手や厩務員が栗東に多かったからだ。