有馬記念を勝ったのも牝馬の1番人気クロノジェネシス…なぜ2020年の競馬界は”女傑の時代”だったのか?
中央競馬の総決算レースとして27日に行われた「第65回有馬記念」(中山競馬場、芝2500メートル、G1)は、ファン投票1位で選出された4歳牝馬クロノジェネシスが単勝1番人気に応えて優勝。G13勝目を挙げるとともに、昨年のリスグラシューに続き、宝塚記念→有馬記念の同一年度のグランプリ連覇を達成した。2着は後方から追い上げた11番人気の5歳牝馬サラキア、3着は2番人気で5歳牡馬のフィエールマンで、配当は馬連、馬単共に万馬券となった。牝馬による有馬記念の2年連続優勝は60年ぶり。1、2着独占は史上初となった。また北村友一騎手は有馬記念初騎乗で初勝利。なぜ2020年は最後まで“女傑の時代”となったのか。
初騎乗の北村騎手「抜かれる気はしなかった」
歴史が動いた。”女傑の時代”。今年の競馬界を席巻した“牝馬が強い“というトレンドは最後の最後まで続いた。秋華賞、宝塚記念のG12勝を含む重賞4勝馬でファン投票1位でファンに支持された“強い牝馬”の代表格、クロノジェネシスは、後方待機策からまくり気味に進出すると、直線は馬場の真ん中から堂々と抜け出した。 残り100メートルで2番人気のフィエールマンをかわすと、大外からやってきたサラキアの追い上げをしのいだ。着差はクビだったが、全く危なげない内容。初騎乗で勝った北村友一騎手の好騎乗が光った。 「折り合いもスムーズでしたし、いつもの感じで走れていて良かった。中山の2500メートルを昨日も今日も乗せてもらい、自分の中で良いイメージを持って乗った。最後、外から何か(サラキアが)来ていることは分かりましたが、抜かれる気はしなかった」。 勝因のひとつは例年以上にタフになった馬場がある。勝ち時計の2分35秒0は良馬場で行われたにもかかわらず、過去10年で3番目に遅い時計だった。この馬は、切れ味勝負にも対応できるが、パワフルさも兼備している。圧勝した今年の宝塚記念など道悪で4戦4勝と力のいる馬場を得意にしており、これがプラスに働いたのだろう。 中山の2500メートルは6つのコーナーと2つの坂があるトリッキーなコースとして知られるため、経験のなさを心配する声もあったが、それも杞憂に終わった。北村騎手は26日には12Rグレイトフルステークスに、この日も8Rグッドラックハンデキャップに騎乗し、5着と1着。同じコースを試走できていたのも大きかった。 スタートの直前ではゲートの後ろで北村騎手がクロノジェネシスのお尻をポンポンと2度叩いて落ち着かせた。 「馬に落ち着いてほしいなという思いでああやってコミュニケーションを取った」 ゲートの中では前脚をかく素振りを見せたが、北村騎手は冷静にスタートを五分に出した。前半は折り合いに専念して12番手と後方キープ。残り1000メートルから中団にいたラッキーライラックなどをかわして進出したのは予定の行動のように映った。