農業の“脱”温暖化 化学肥料を技術で減らせ!【WBSクロス】
高機能バイオ炭で化学肥料を削減
愛知・刈谷市にあるベンチャー企業の実験農園でも、化学肥料を減らす取り組みが始まっていました。栽培中のミニトマトの下に敷き詰められていたのは、土ではなく炭です。 「こちらの黒いのが、高機能バイオ炭の『宙炭(そらたん)』。炭に微生物を培養したもの」(「トーイング」の西田宏平社長) 名古屋大学発のベンチャー企業「トーイング」が開発した化学肥料の代わりとなる特殊な炭。 もみ殻を高熱で処理してつくった炭に、独自の技術で培養した微生物を加えることで、土壌の養分を高め、作物の成長を促す効果があるといいます。 「良い土壌環境を作ってあげれば、化学肥料の使用を減らすことができる」(西田社長) 「宙炭」を使って育てたナスと化学肥料を使ったナスと比較すると「(純粋な)有機栽培だと収穫量も2~3割ぐらい減る。宙炭を混ぜると背丈はだいたい同じくらいで収穫量も慣行(化学肥料を使う栽培)以上にとれたりする」(西田社長)といいます。 この宙炭を使って、現在200ほどの農家と化学肥料を減らす取り組みを進めています。7月末には宙炭を量産するための施設の稼働も愛知・豊橋市で始める予定です。 「今年がファーストステップの基盤づくり。来年から本格的に各地に実装させていくフェーズになる。僕らの勝負の年かなと思っている」(西田社長) 国内で使われている化学肥料の原料の多くは、海外からの輸入に頼っています。そのため円安による肥料価格の高騰が続いていて、化学肥料を減らすことは、生産コストの削減にもつながります。 ※ワールドビジネスサテライト