【全米1位】約30人を容赦なくディス!エミネム“最新アルバム”の最狂っぷりを徹底解説
④ クリストファー・リーヴ(俳優)
最後は最も酷いディスりを紹介します。クリストファー・リーヴは1978年に公開された『スーパーマン』の主人公を演じたことで有名な俳優です。不運なことに1995年、馬術の大会に出場した際に落馬し、首から下が不随になってしまいました。 彼はその事故以来、亡くなるまでずっと車椅子生活をしていましたが、スリムはそんな悲劇を味わった人ですらディスってしまう、タブーも何も関係ないぐらいぶっ飛んでいるラッパーなのです。 しかも、曲全体でリーヴのことをディスっているタイトル、「Brand New Dance(最新のダンス)」では、明らかに踊れなくなったリーヴを馬鹿にしてますし、内容も結構酷いものがあります。 さらに興味深いエピソードとして、この曲は実は2004年にリリースしたアルバムに収録しようとしていましたが、アルバムがリリースされる直前にリーヴが亡くなってしまったので、その曲だけを取り下げたのです。その曲を20年経った今引っ張り出してきてリリースしたという経緯があるのです。
さまざまな人をディスるだけでなく、その内容もかなり攻めていますが、アメリカではなぜか「エミネムだから許される」という認識も存在します。もちろん許容してない人も多く、スリム・シェイディのリリックの内容は常に賛否両論ですが、事実このアルバムは全米アルバム・チャートで1位を獲得しています。 このアルバムは順序通りに聴いてエミネムがスリムに勝つパターンと、順序を逆に聴いてスリムがエミネムに勝つパターン、どちらがしっくりくるかによって聴き手の賛否も分かれると思います。 個人的な意見としては、エミネムの歪んだダークなユーモアは酷いものがありますが、アルバムのコンセプトや仕掛けには、天才と認めるしかない凄さを兼ね備えている恐ろしい存在だと思います。 あなたはスリムとエミネム、どちらに勝って欲しいでしょうか? 是非ともアルバムをどちらの順序でも聴いてみてご判断ください。 ショットガンダンディ=文 池田裕美=編集
OCEANS編集部