複数の部下に過度な叱責 防衛審議官をパワハラで懲戒処分 防衛省
防衛省は27日、部下に過度な叱責を行って精神的苦痛を与え、職場環境を著しく悪化させたなどとして、中嶋浩一郎防衛審議官(58)を停職30日の懲戒処分にしたと発表した。中嶋氏は同日、依願退職した。中嶋氏の後任には加野幸司官房長(58)を充てる。 防衛省によると、中嶋氏は10月以降、数人の課長級職員に対して、他の職員も出席している会議などの場で、中嶋氏の意に沿った対応ができていないことを一方的に激しく叱責した。さらに威圧的な態度で職員の能力を過小評価したり、業務への取り組み自体を否定したりする発言を繰り返していた。 今月になって、被害者1人から相談が寄せられ、中嶋氏のパワハラが発覚した。中嶋氏は以前にも言動について上司から指導を受けたことがあり、3月には増田和夫次官が中嶋氏を口頭で厳重注意していた。 防衛審議官は、事務次官級ポスト。中嶋氏は「私の言動をハラスメントと感じてしまった人がいることに対し、本当に不徳の致すところであり、反省している」と述べたという。 中嶋氏は2021年7月~23年6月、菅義偉、岸田文雄政権で首相秘書官を務め、24年7月に防衛審議官に就任した。 今回のパワハラ案件を受けて、増田氏も27日付で「防衛審議官への指揮・指導・監督が不十分だった」として中谷元・防衛相から口頭厳重注意を受けた。中谷氏は27日、今回のパワハラ案件をはじめとして防衛省・自衛隊で不祥事が相次いでいることに対し「国民の皆さまの信頼を大きく損なうものであり、防衛相として深くおわび申し上げる。このような事案が再び発生することのないよう再発防止の徹底を図る」とのコメントを発表した。【中村紬葵】