文章の上手い下手で人生が大きく左右される 小論文指導塾の代表が語る、人生で必要になる場面とは?
世の中は意外なほど、文章力を問われる場であふれている。 『人生で大損しない文章術』(新潮社)の著者で、文章指導塾「ウェブ小論文塾」の代表・今道琢也さんは、「そこをうまくクリアできないと、人生を左右するチャンスを逃すことにもなりかねない」と言います。 では、いつどんな場面で文章力が問われるのか?
今道琢也・評「よく読みましたか?」
突然ですが、次の問をよく読んで、短い文章を考えてみてください。 問 業務におけるコミュニケーションの重要性について述べてください できましたか? 簡単だったでしょうか。 では、改めて聞きます。問を「よく読んで」文章を考えましたか? 本当に「問の意味」を理解できていますか? わざわざこのようなことを言うのは、問を「よく読まずに」答えを書く人が余りにも多いからです。 私は10年前にNHKを退職し、インターネット上に小論文指導専門の塾を創業しました。どれだけの需要があるだろうかと、不安を持ちつつの船出でしたが、蓋を開けてみると、高校・大学入試から、就職試験、昇進試験まで、ありとあらゆる相談が寄せられました。「こんなにも多くの人が文章作成で悩んでいるのか」と、驚いたものです。 そして、もっと驚いたのは、多くの人が問を読まずに解答を書いているという事実です。小論文にせよ、エントリーシートにせよ、「このようなことを書け」という指示があります。多くの人は、それを読まずに解答を書いているのです。 もちろん、一応問に目は通しているのでしょうから、「読まずに」というのは少し言い過ぎかもしれません。少なくとも、問を「よく読まずに」書いていることは確かです。 前掲の問いかけであれば、「重要性」の意味を正確に理解できるかどうかが鍵です。この問を見たときに、「重要性を述べる、とはなんぞや」と一度自分に問いかけたでしょうか。ここができたかどうかで答案の評価は大きく変わります。では、どんな文章であれば、問を理解した解答といえるのか。その答えは、本書に記しています。 人生には、文章の出来不出来によって、その後が大きく左右される場面が何度かあります。例えば、大学入試です。小論文を課す大学がたくさんありますし、総合・学校推薦型選抜では、志望理由書などを書く必要があります。就職試験ではエントリーシートの記入が求められますし、昇進試験で小論文を課す会社は多数あります。このような場面で、的確な文章を書くことができれば、とても有利ですし、そうでなければ大損をします。実際、教員・警察官になりたいけれど、小論文が書けないためにどうしてもなれない、係長に昇進したいけれど、毎回小論文試験で落とされている、そんな人が世の中にはたくさんいるのです。 本書では、文章作成のポイントをできる限り単純化し、分かりやすくまとめてあります。是非とも本書を読んでいただき、「文章で大損することのない人生」を送ってください。 [レビュアー]今道琢也(ウェブ小論文塾代表) いまみち・たくや 協力:新潮社 新潮社 波 Book Bang編集部 新潮社
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