【東奥日報プラス】ウィルスを憎んで、人を責めず -いま生きる私たちが経験する最初のパンデミック。過剰反応と理解不足がもたらすもの。佐藤敬(青森中央学院大学学長、医学博士)
人々の生活を一変させた新型コロナウイルス。感染への恐れ、経済的な打撃…と不安な日々は続くが、正しく恐れ「ウイルスを憎んで人を責めない」姿勢がいま求められている
2019年後半に中国武漢市から発生したとされる新型コロナウィルス感染症(COVID-19, corona virus disease 2019)は、きわめて短期間に世界に広がり、“パンデミック(世界的流行)”と表現される状況になった。その混乱の中、マスコミを中心に多くの情報が取り上げられ、国民の大多数は感染の拡大阻止を目指して自らを律してきたと思われ、5月になって感染者数など種々の指標の改善が見られるようになった。しかし、一部にはパンデミックに対する過剰反応と思われる例があった。5月に非常事態宣言が布告され、特に県境をまたいだ移動を自粛するようにとの要請に対して、県外ナンバーの車が被害にあった例や、いわゆる“自粛警察”と呼ばれるような過剰な行動などもニュースになった。また非常識との批判を受けた感染者も居たようだ。例えば、コロナウィルス陽性であることを知りながら、不要不急と言わざるを得ない行動を控えることができなかった例が報道された。これらはすべてではないにしても、新型コロナウィルス感染症に関する理解が十分でないことが大きな要因の一つであると思われる。
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