なぜ東京五輪・パラリンピックは開催されF1日本GPは中止になったのか…裏事情と2年連続中止が及ぼす影響とは?
F1世界選手権、第17戦日本GPの開催は2年連続で中止となった。もちろん、理由は新型コロナの感染急拡大だ。 10月8日~10日に三重県の鈴鹿サーキットで開催される予定だった日本GPの行方は、東京オリンピックが鍵を握ると見られていた。F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリも「日本GP開催についての交渉は東京オリンピック終了後に行う」と語っていた。もし、東京オリンピックが延期または中止になれば、日本GPの開催も断念せざるをえないからだ。 しかし、東京オリンピックが無観客ながらも開催されたことで、F1側も開催に向けた準備を進めていた。F1側の関係者によれば、「F1関係者はチャーター機で入国後、空港から鈴鹿市内のホテルに大型バスで移動し、ホテルはフロアもしくは一棟を借り切ったうえで、外出は原則禁止。食事はサーキット内で済ませ、サーキットとホテルの往復も専用のバスを用いて、一般客と接触しないバブル方式で開催する」予定だった。 この準備は7月下旬から開始し、入国予定の関係者の氏名やパスポートなどの個人情報データなどをすべてリスト化し、主催者である鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドへ提出。モビリティランドは、関係各省庁と連絡を取り合い、日本GP開催へ向けた準備を進めていた。 というのも、現在日本は海外からの渡航者に対して、14日間という自主隔離期間を設けている。さらに「新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置(B.1.617系統の変異株『デルタ株』への対応)」の対象国・地域に過去14日間の間に滞在歴があると、日本到着後、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で3日間から10日間の強制隔離が義務付けられている。日本GPの前週にはトルコGPがあり、その1週間前にはロシアGPがあるのだが、ロシアもトルコも3日間の強制隔離が義務付けられている国なので、F1関係者は、入国に関して何らかの特例措置を関係各省庁から出してもらわないと、レースを行えないという状況にあった。 これはF1に限らず、オリンピックも同様だったが、オリンピック選手にはPCR検査を厳しく行うことで、強制隔離を免除するという特例措置がとられていた。そのため、F1も同様に特例措置によって開催されると思われていたが、最終的に関係各省庁から特例措置を確約する回答を得られず、タイムリミットとなり、F1側と主催者であるモビリティランド側が中止を発表することとなった。 なぜオリンピック、パラリンピックの開催はOKで、F1はNGだったのか?