地球が、音楽ストリーミングの公式アーティストに。自然音再生の収益を環境保全へ
これらの音楽は、Apple MusicやSpotifyといったメジャーなストリーミングサービスで聴くことができ、「NATURE」の63%、「feat.NATURE」の50%の収益が生物多様性の保全や環境の再生プロジェクトに使われるという。さらに、リスナーは「NATURE」のページにあるリンクから、任意の額を寄付することもできる。 プロジェクトの構成メンバーと意思決定のプロセスにも着目したい。Sounds Rightプロジェクトは、UN Liveと40人を超えるコロンビアの多様なミュージシャンや環境活動家たちが、自然の保全プログラムに人々を巻き込むクリエイティブな方法を話し合うところから始まった。このため、プロジェクトのメンバーにもグローバルサウス出身者が多く含まれる。 「NATURE」の収益の配分も、グローバルサウス出身の環境活動家や先住民族の代表者などを含む4人の専門家グループにより決定される。その意思決定プロセスの詳細について、プロジェクトディレクターのGabriel Smales氏はGood Good Goodの取材に対し、こう語る。
「地球は、自身のお金を何に使うでしょうか?まず、生物多様性と固有種のレベルが最も高い生態系の保全と復元を優先するでしょう」 「次に、地球はお金が最も効果的で倫理的な方法で使われることを望むでしょう」 「最後に、地球自身は話すことができないため、その最も重要な守護者である先住民(自然界を保護するために最も大きな負担を負っている人たち)、また保全科学者や実践者たちに代表されたいと思うでしょう」 Good Good Goodの取材記事より、Gabriel Smales氏のコメント
Sounds Rightを通した収益が発生するまでには少し時間がかかるが、プロジェクト主導者は公開後の4年間で6億人以上のリスナーを獲得し、4,000万ドル以上の保護費用を生み出せると見積もっている。 生物多様性や環境の保全を資本主義経済の原理に組み込んで推進することは、見方によっては非常に「人間本意」な行為かもしれない。だが、Sounds Rightの本質は、私たちが地球から何を享受しているのかを改めて思い起こさせることにあるのではないだろうか。 そう考えてみると、口にする食物をはじめ、日常を豊かにしてくれる香りや家具、自然をインスピレーションとするアートまで、私たちの周りには地球からの"おくりもの"で溢れている。そんな地球に恩返しをするときが、来ているのではないだろうか。