2024年「スギ花粉」全国的に“平年並み~少ない”傾向、日本人の4人に1人が「花粉症」
環境省は、花粉を飛散させるスギの雄花の芽の数が、今シーズンは全国的に平年並みか平年より少ない地域が多い傾向と発表しました。このニュースについて甲斐沼医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
2024年のスギ花粉の傾向は?
編集部: 2024年のスギ花粉の傾向について教えてください。 甲斐沼先生: 2024年のスギ花粉の傾向について、環境省が2023年11~12月に実施した花粉を飛散させるスギの雄花の芽の数の調査の結果が出ています。 この調査は35都府県で実施されており、今シーズンは過去10年間の平均と比べてみると、東京や大阪など16都府県が80%以上120%未満で平年並み、京都や広島など14府県が80%未満で平年より少なくなっているとのことです。 ただし、岩手、愛知、兵庫、島根の4県は120%以上で、平年より多くなっていることも明らかになっています。 伊藤環境大臣は、記者会見で「花粉症は近年、大きな社会問題になっている。発生源対策や飛散対策などを着実に実施していく」と述べるなど、国を挙げて影響を問題視していることがわかります。 なお、日本花粉学会は、スギなどの花粉飛散量の表示について、これまでは「少ない」「やや多い」「多い」「非常に多い」の4段階に加えて、1平方cmあたり100個以上の飛散量となるときは「極めて多い」とする新たなランクを設けています。
花粉症とは?
編集部: そもそも花粉症とはどういったものなのか、改めて教えてください。 甲斐沼先生: 花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状で、「季節性アレルギー性鼻炎」とも言います。日本人のおよそ4人に1人が花粉症だと言われています。 花粉が目や鼻から入ってくると、免疫システムによって異物とみなされて「IgE抗体」が生成されます。IgE抗体は花粉に接触するたびにつくられるため、少しずつ体内に蓄積されていきます。 そして、一定のレベルに達すると、ヒスタミンなどの化学物質が分泌されて、くしゃみや鼻水などの花粉症の症状を起こします。歳をとって急に花粉症の症状が表れるのは、IgE抗体が蓄積された結果です。 花粉症の診断には、血中IgE検査や、皮膚反応検査、鼻粘膜誘発テストなどがあります。 花粉症治療は、薬を使った対症療法が基本となり、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などの薬が用いられます。 薬を使った治療で十分な効果が得られない場合には、レーザー手術をおこなうこともあります。また、最近では「舌下免疫療法」という根治療法も注目を集めています。