スーパーカー誕生から50年 カウンタックを存分に楽しむ|『Octane』UKスタッフの愛車日記
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、ハリー・メトカーフが愛車のカウンタックQVでイタリアへロードトリップに。生産から50年が経った現代でもその魅力は衰えないようだ。 【画像】妻が「これまでで最も快適な車の一つ」と思わぬ評価を!色褪せぬカウンタックQVの魅力(写真5点) ーーー ランボルギーニ・カウンタックがサンタアガタの工場から最初にラインオフしたのは1974年3月のこと。2024年はガンディーニの傑作が誕生50周年を迎える記念すべき年だった。これを祝うため、愛車のカウンタックQVを引っ張り出し、イタリアへのロードトリップに出ることにした。 この車を所有して14年になるが、工場へ持ち込むのはこれが3度目。最初は2010年、『Octane』誌の表紙企画として、16年にわたる生産期間中に作られたカウンタック各モデルを比較するための取材だった。ジャッジ役はあのヴァレンティーノ・バルボーニで、彼の評価ではQVがトップだった。 2度目は2013年のランボルギーニ創立50周年イベントに参加するため。その際にはローマを訪れるルートを選んだ。 今年の旅の目的は、工場を訪問するだけでなく、ボローニャ近郊にあるフェルッチョ・ランボルギーニ博物館や、ウンブリア州にある彼のワイナリーといったあまり知られていない場所にも立ち寄ることだ。そのため、総走行距離は約2500マイルに及ぶことになった。 まずはスイスのアンダーマットを目指し、途中ストラスブールに立ち寄ることにした。そこからドイツのアウトバーンを抜け、バーゼルへ向かうルートだ。金曜の夕方6時にアウトバーンに入り、速い速度を出すのは難しい状況だったが、それでも時折150mph(約240km/h)以上で巡航することができた。 良好な状態のエンジンを持つカウンタックQVは、高速域でその真価を発揮する。150mphでも驚くほど安定しているのは、開発ドライバーのボブ・ウォレスのおかげだ。彼は、ミウラが高速走行時に不安定になることに満足せず、その後継モデルがしっかりした挙動を示すよう入念に仕上げた。その結果、オーナーたちは好んで飛行機での移動を避け、アウトストラーダでのドライブを楽しむようになった。 さらに魅力的なのは、カウンタックQVのエンジンがどんな速度でも苦しげな音を立てないことだ。風切り音がほとんどない中、キャブレターから供給されるV12エンジンの轟音だけが響き、車線がスムーズに開けていく様子はまさに壮観だ。 翌日は快晴となり、スイスを抜ける旅路が始まった。アンダーマットはランチに最適な場所であり、多くの有名なアルプス峠へのアクセスも良い。我々は翌朝ランボルギーニ工場でのアポイントが控えていたため、比較的緩やかなゴッタルド峠を選んだ。 モデナに近づくと雨が降り始め、サンタガタでの翌日も続いた。そのため、プロトタイプのカウンタックとQVの撮影は苦戦したが、辛抱強く取り組んだ結果、無事に撮影は終了。工場隣の「ダ・タイアデラ」レストランで素晴らしいランチを堪能した後、ボローニャ近郊のフェルッチョ・ランボルギーニ博物館を訪問した。 ここは非常に興味深い場所で、フェルッチョがいかに多才だったかが実感できる。まずはトラクターの製造から始まり、ボイラー、ヒーター、空調機器を経て、後にアウトモビリ・ランボルギーニを創設。その後、私が本当に訪れたかった場所、フェルッチョが1974年に引退後過ごしたウンブリアのワイナリーへ向かった。 入り口には大きな柱に据えられた2つの壺があり、それが両側に並ぶ木々に囲まれた広い砂利道へと導いてくれる。白く塗られた農場の建物には大きな赤い扉があり、到着するとカウンタックをフェルッチョが自身のランボルギーニを駐車していたトラクター用の小屋に停めるよう案内された。非常に感慨深い。敷地内にはフェルッチョが晩年に造ったゴルフコースや宿泊施設「アグリツーリズモ」、素晴らしいイタリア料理を提供するレストランもある。次回もここでまた食事を楽しみたいものだ。 従業員の中にはフェルッチョの時代から働いている人もおり、映画『The Man Behind the Legend』での彼の描かれ方に不満を抱いていると語っていた。フェルッチョは非常に現場主義で、毎日のように畑で作業をしていたという。彼の「高品質なワインを作る」という初期の信念は今でも生きており、このワイナリーは世界クラスのワインを生産する地として高く評価されている。 天候に恵まれない部分もあったが、全体として素晴らしい旅だった。そして何より、カウンタックは一度もトラブルを起こさなかった。総走行距離はこれで35,000kmに達したが、妻はこの車を「これまでで最も快適な車の一つ」と評価しており、購入当初は想像もしなかったコメントに驚いている。 確かに、クラッチ、ギアチェンジ、ステアリングは非常に重いが、それでもカウンタックは最高のスーパーカーデザインの一つだと思う。長距離走行をものともせず、圧倒的なパフォーマンスを提供し、何世代にもわたる「ポスターカー」であり続ける。次の50年に乾杯しよう。 文:Harry Metcalfe
Octane Japan 編集部