「おんぶ」をせがむ小・中学生たち 生育環境で得られなかった「愛」を求めて
コロナ禍で減る、スキンシップの機会
幼少期のスキンシップが子どもに与える影響についてはすでに様々な研究が行われており、情緒の安定や非認知能力・社会性の向上などの効果が指摘されている。 子どもは、大人とのスキンシップを通して寂しさを埋め安心感を得る。また、自分を受け止めてくれる優しい存在を探しているのかも知れないし、スキンシップを通じて自分の味方になってくれる相手かどうか判断しようとするのかも知れない。また、家庭が崩壊し親から十分な愛情や安心感を得られなかった子どもにとっては、大人と触れ合いながら無意識のうちに社会との関係の再構築を試みているのではないか、と思うこともある。
子どもが大人とスキンシップをとれる場は、(1)家庭(2)学校(3)塾・習い事をはじめとする放課後の活動拠点――の3つに分けられるのだが、家庭に「不和」が生じている子どもにとっては、そもそも(1)は選択肢にない。その中で新型コロナウイルスの感染拡大により(2)の学校にも行けない時期が生じ、再開後も課外活動が制限されるなどこれまで通りの日々を送りにくくなってしまった。このような状況の中、信頼できる大人と、スキンシップを含めたコミュニケーションを取ることができる(3)の場の重要性は増していると考える。
塾にできること
コロナ禍、私が運営する塾でもオンライン授業に切り替えた。講師陣ら、大人と直接触れ合うことができなくなり、寂しい気持ちを募らせている子どもはかなり多いと考えられる。そんな子どもたちに対して、私たちは何ができるのだろうか。対面でのやりとりが難しい中、「おんぶ」に替わって塾生らに安らぎを与えられるような環境を用意することができるのだろうか。 塾長である私が悩んでいる間に、ボランティアの学生講師達はその答えを自ら試行錯誤し、示してくれた。 次回はそのことについて触れたいと思う。