ストレッチが必要なのはこんな人! 願望を叶えるストレッチの効果(専門家が監修)
カラダを柔らかくしたい!という願望以外に、ストレッチがカラダにもたらす御利益の解像度を高くしてみよう。きっと取り入れるべき人は多いはずだ。[取材協力/中村雅俊(西九州大学リハビリテーション学科理学療法学専攻主任、准教授)]
姿勢を良くしたい
スポーツやトレーニングとはまるで無縁なタイプでも、ストレッチには大きな恩恵がある。カラダの不調をもたらす姿勢の乱れを優しくリセットしてくれるのだ。 筋力は、運動不足だと30代以降は年1~2%の割合で減っていく。それと並行して起こるのが、カラダの柔軟性の低下。 筋肉も関節も、使わないと弱くなったり、硬くなったりして衰える。ずっと乗らない自転車を雨ざらしで放置したら、サビついて動かなくなるのと同じ。さらにやっかいなことに、使いすぎても筋肉と関節は、硬くなって機能不全に陥りやすい。 筋力が落ち、筋肉と関節が衰えて硬くなると、ストレートネック、猫背、反り腰といった不良姿勢を招きやすくなる。姿勢が崩れてくると、特定の筋肉や関節に負担が集中するようになり、首こり、肩こり、腰痛、膝痛といった慢性的な不調につながりやすい。 こうした困った不良姿勢を改善する第一歩は、ストレッチで筋肉と関節の柔軟性をリカバリーすること。 筋力を上げるには筋トレが求められるが、筋トレをするのはなかなか大変。ストレッチで筋力が高まるわけではないが、筋トレに比べるとストレッチは手軽かつ簡単。 まずはストレッチで筋肉と関節の柔軟性を回復させて、正しい姿勢を取りやすくしよう。それにより凝りや痛みが軽くなったという実感が得られたら、筋トレにもチャレンジしてもっと快適なカラダを手に入れてほしい。
血管を整えて老化を防ぎたい
アンチエイジングの基本のキは、血管を柔らかく保つこと。 血管がしなやかだと血液がスムーズに全身を巡るから、細胞レベルで若々しさがキープできる。逆に心臓から末端へ血液を運ぶ動脈が硬くなり、血液の塊(血栓)が詰まりやすくなると、心臓病や脳卒中といった深刻な病気に罹るリスクが上がる。 ストレッチは筋肉と関節の柔軟性を高めるが、実は血管の柔軟性も上げて動脈の硬化を防いでくれる。 「ストレッチをするたびに筋肉と一緒に周囲の血管も伸びてくれます。すると血管の内側を覆っている内皮細胞から、NO(一酸化窒素)が放出される。このNOが血管を広げ、血管をしなやかにしてくれるのです」(西九州大学の中村雅俊准教授) NOで血管が広がると、血圧高めな人の血圧は下がりやすくなる。因果関係は不明だが、血糖値高めな人の血糖値も下がりやすくなるという。いずれもストレッチを習慣化すると得られる持続的な成果だ。 ランニングやウォーキングのような有酸素運動も、血流を促して高めの血圧や血糖値を下げてくれる。ストレッチ×有酸素運動なら鬼に金棒。血管から全身が若々しくなる。有酸素で痩せられたらメタボ系疾患の予防にも。手始めに、気軽に続けられるストレッチに取り組もう。