“敗戦国”から“戦勝国”へ?激動の世界で日本は勝ち組になれるか…櫻井氏・宮家氏と議論
世界が大きく変化すれば日本は「敗戦国」から脱却できるか
反町理キャスター: 「戦間期の次」は様々な意味で日米などの自由主義陣営が中国、ロシア、北朝鮮、イランなどと向き合う時代か。それが本当の戦争であれ経済・サイバー戦争であれ、勝った先に何があるか。単に現状の平和とか豊かさを守るということか、それとも日本が第2次大戦後の敗戦国である状況から、言葉が適切かわからないが「戦勝国」の立場になるのか。 宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事特別顧問: 「戦勝国」はあまり使いたくないが、生き残るために必要なことは何か。その4カ国が持っていないものは自由、民主、法の支配、人権、人道、いわゆる普遍的価値。 日本に強い政府ができ、抑止力を高めるために、あるいは抑止が破れたときにはある程度の自衛力を地域の安定を図るために適正に行使する。 日本はそのシステムがある信頼できる国だと示すこと。大混乱期の後に勝ち組に残れば、次の50~100年の国際秩序のルールを作ることに参画できる。これはものすごく大きなメリット。 櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 日本では604年の十七条の憲法以来1000年以上、民の幸福追求権を大切にするという意味のことを政治の基本としてきた。 五箇条の御誓文の「広く会議を興し万機公論に決すべし」は民主主義そのもの。現代ではこの伝統的な価値観を安倍元総理がよく政治に活かした。 私たちは勝ち組に入ることで、ロシア、中国、北朝鮮、イランを含めた世界の国々をこの価値観に基づき説得できる。それが世界に対する貢献の一番正しいあり方だと思う。 反町理キャスター: 第一次・第二次大戦の間に日本はドイツ・イタリアと組んで一定の国際的な権益を維持することを目指した。その結果戦争に負けたのだから判断は間違いだったのだとする。 すると、今日本がとるべき立場は。勝ち組にいるべきとして、アメリカの自由・民主主義陣営が本当に勝つのか。“アメリカ組の大番頭”で日本の将来は安心か。 宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所理事特別顧問: アメリカの大番頭かはどうでもいいが、中国は強権的に市場を歪め、経済活動も含めて力で抑えようとしている。そんなもの長続きするわけない。我々の民主主義は我慢が必要だが、10~20年経って「あのときバカなことをしなくてよかったな」となるシステム。 国民の自由を尊重しない中国のやり方は必ず行き詰まり自壊していく。ただ彼らに力があることは事実だから、日本に足りない最低限の抑止力は必要。 櫻井よしこ 国家基本問題研究所理事長: 何を血迷ったか石破総理はアジア版NATO構想などとおっしゃり、全然わかっていない点が心配。下手に中国と交渉すると引き込まれる危険がある。 アメリカは欠陥も多い国だが最も大事な同盟国で、関係強化により世界に貢献できるし日本の国益にもかなう。 そこに中国が割り込もうとしているのは明らか。電力、流通、航空などに巧妙に入り込んでいる。国の根幹が中国に影響される兆しがある。注意しなければ。