オオカミウオやイトウも楽しめる、日本最北端の水族館、稚内の「わっかりうむ」。カレイが泳ぐと「ダイヤモンド」が現れる
世界に約400ある有料水族館のうち、150近くが日本にあるという。フォトグラファー・野辺地ジョージ氏が撮影する数々の被写体・シリーズの中で、最も古いのが水族館であり、少年時代の思い出をたどる「旅」だ。日本人にとっての水族館とは何なのか…写真と文で繙いていく 【写真】メバルやエビ、カニなどの稚内周辺の魚たち展示もある * * * * * * * ◆日本最北端の水族館 前回の「シュール・ブルー列島水族館写真巡り」の続きで、今年2月に手がけた北海道撮影旅の際に訪れた水族館を紹介する。今回は稚内市にある日本最北端の通称「わっかりうむ」ノシャップ寒流水族館だ。 寒さに強いゴマフアザラシやペンギンも飼育されているが、この小さな水族館の屋内展示施設には熱帯魚コーナーもある。 しかし一番の見どころは回遊水槽ではないだろうか。北の海を代表するカレイ、オオカミウオ、ホッケなどが泳いでいるが、中には北海道の大魚、イトウもいる。飼育員の話によると、この水族館のオオカミウオは珍しく水槽の底に留まらず、活発に泳ぎ回ることで知られているそうだ。
◆時間を忘れて夢中になれる空間 その水槽をしばらく眺めていると、光と影による面白い現象が起きる事に気付いた。それは照明の下を泳ぐ「ある魚」の影。普通の魚は普通の影が映るが、カレイが泳ぐと菱形の影が見える。そして、カレイが壁と照明からの絶妙な距離のところを泳ぐと、一瞬だけ「泳ぐダイヤモンド」に見えるのだ。しかしこのタイミングがなかなか難しい。カレイの位置が少しずれたりすると映らない。そして、時には他の魚が映り込んでしまう。 気が付いたら1時間が経ってしまった。それだけ夢中になれる空間だったということだ。そして再び外に出ると、眩しい日差しの下にゴマフアザラシが日光浴をしていた。水族館の壁の向こうには見事に冠雪した利尻山の姿が見えていた。列島最北端にある水族館ならではの見事な光景であった。 (撮影=野辺地ジョージ)
野辺地ジョージ
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