【とっておきメモ】レモンポップ田端助手が涙、言葉に込めた4年分の思いとは/チャンピオンズC
<とっておきメモ> <チャンピオンズC>◇1日=中京◇G1◇ダート1800メートル◇3歳上◇出走16頭 さすがに我慢できなかった。 夕日を背にウイニングランをするレモンポップ(牡6、田中博)を、ヘルメット姿の田端誠助手(47)が外ラチ沿いで迎え入れた。鞍上の坂井騎手と握手するまでは、平静を保とうとしたように見える。でも4年間担当し人生をかけた愛馬に触れると、目元がぐっと朱色に染まった。 レース1週前。素直な気持ちを言葉にしてくれた。 「元々千六が長いと言われたり、フェブラリーSの時は中2週も心配されました。今年も距離の不安はあります。僕もファンの皆さんと一緒。不安がないことはないです」 昨年は根岸Sで重賞初制覇を果たし、中2週でG1初制覇。チャンピオンズCでは“千八が長い”と言われ、さらに大外枠。ラストランでは“衰え”も指摘された。さまざまな下馬評が駆け巡る。それを走りで覆し、ファンの期待に応えてきた。だから今回もやってくれる-。最終追い切りを終えた同助手の表情には、充実感がにじんでいた。 「やることはやりました。大丈夫です。信じて送り出すので、やってくれると思いますよ」 引退が決まってから寂しさが伝わらないように、と普段通りを心掛けた。引退式で「一生懸命につらい思いをして走るのは最後だよと、(坂井)瑠星にバトンタッチをしました」と明かしたように、結果はどうであれ、涙はこぼれていたかもしれない。でも、常に何よりも欲した1着、そしてファンの大歓声が涙をいっそう彩っていた。 前出の取材の最後に「引退を迎えるレモンポップにかけたい言葉は」と聞いた。2、3秒間を置いて、ゆっくりと口を開いた 「ありがとね。感謝しかないです」 4年分の思いが涙に、言葉に込められていた。【桑原幹久】