「タイパ重視なら死ぬのが一番」成田悠輔の常識を再定義する、必見の一問一答を公開!
アスリート、文化人、経営者など各界のトップランナーによる、人生の特別講義を提供するイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第7弾が、2024年5月15日、16日の2日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、経済学者/データ科学者/事業家の成田悠輔さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。 【写真】 堀江貴文×河村真木子 / 優秀な女性たちを活用する極シンプルで簡単な方法
自分が幸せに生きる。それが人類の幸せへの最短経路
Q.常識は壊すべきものなのか? 常識とは、自分自身で作り出すものです。世の中で常識とされていることの中には、実は非常識なものが多い。ついこの間まで奴隷制度や人種・男女差別が当たり前の常識だったことからもわかります。野蛮な非常識が世の中になんとなく常識として陣取り、人々が大して考えずなんとなくそういうものだからと受け入れているのです。そうした非常識な常識を乗り越えるために、一人一人が自分自身の常識を作り出そうと思考し、葛藤し、社会の常識と軋轢を作り出していくことが大事です。 Q.現役の大人たちがやるべきことは? まず自分が幸福に生きること。現代人は「次世代のため」とか、「社会のため」とか、「環境のため」とか、遠くの抽象的な他人や未来のことをフワフワと考える癖があります。その割に、ネットの誹謗中傷は絶えず、相変わらず週刊誌やワイドショーで次の標的を見つけては袋叩きにしている。要は身近な他人の不幸に蜜の味を感じてしまう不幸な癖は一向に止まらないわけです。世界を、他者を幸せにしたいなら、まず自分がブーブー言わず他人に粘着せず、幸せに生きる。幸福の自家発電が愛と平和への第一歩です。 Q.絶滅危惧種を愛する理由は? 人類がそろそろ滅びる絶滅危惧種だからですね。ちょっと油断すると滅びてしまいそうなはかない存在にこそ、一番大事な欲望が表れる気がします。たとえば自分が突き動かされる服ばかり作っていて、案の定ほとんど誰にも理解されず、いつも資金繰りに苦しんでるファッションデザイナー。そういう流行や時代のニーズに直行して絶滅寸前の人が作る奇妙な服に散財して、自分の財布も絶滅しそうになって後悔するのが好きです。 いま気になっている絶滅危惧種は「自分」ですね。そろそろ社会から追放されそうなので、いつどのように自分が絶滅するか楽しみです。 Q.タイパ(タイムパフォーマンス)をどう解釈するか? タイパは「死にたいという叫び」にも聞こえます。タイパを突き詰めたら、過程をすべてすっ飛ばし、ゴールに直行するのが正解です。消えてなくなるのが手っ取り早い。 僕はタイパを伸び縮みさせて時間を過ごすことが多いです。動画を3倍速で見たと思ったら、今度は3分の1の速度に落としたり。3倍速で猛烈に集中し、3分の1速では退屈で間延びする。タイパを突き詰めたり逆らったりその周りをフラフラ旋回したり。要はタイパと無目的にランダムに戯れること。それが生きるという無駄を味わうことかなと思います。