日産レパード280X・SF-L(昭和55/1980年9月発売・HF30型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト113(最終回)】
日産の新たな挑戦が生み出した高級パーソナルカー
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その最終回となる第113回目は、ラグジュアリースペシャリティカーとして存在感を示した、日産レパード280X・SF-Lの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】直線を巧みに使用して、デザイン的にはかなり攻めたものとなった。斜め後ろから見たフォルムもスペシャリティカーと呼ばれるにふさわしいものとなっている。(全7枚)
スペシャリティカーという分野では、すでにシルビアで十分な実績を持っていた日産だが、昭和55 (1980)年の9月にレパードと名付けられた新型車種が登場したことで、ユーザーの選択肢は大きく広がった。 販売店の関係で、異形ヘッドライトのレパードと角形4灯ヘッドライトのレパードTR ーX(トライエックス)がラインアップされたが、基本的にはどちらも同じモデルである。 レパードに設定されたボディは、6ライトウインドウを大きな特徴とする4ドアハードトップと、2ドアハードトップの2種類。2代目のレパードでは4ドアボディは廃止されていたが、この初代レパードの販売実績で実際に大勢を占めたのは4ドアボディのほうだった。 エクステリアから見ていくと、柔らかい曲線とシャープな直線を融合させたフォルムにより、ダイナミックなイメージを表現している。 当時の国産車最大のスラント角26.5度を与えられたノーズ、フラッシュマウントモールディング、バンパー一体型の大型エアダムなどの採用により斬新なスタイリングコンセプトでまとめられ、空力特性の面でも最先端であった。実際に発表されたCd値=0.37は純粋なスポーツモデルと比較しても遜色のない数値となっている。 ボディには高張力鋼板を大量使用(約70kg)するとともに、樹脂部品を多用し、車両重量の軽減化を図っている。さらにカチオン電着塗装、亜鉛メッキ鋼板の採用などで、防錆対策にも配慮している。
インテリアに目を移すと、世界初となるマルチ電子メーターやドライブコンピューターなどを組み込んだのが注目される。基本的な部分として、ドライビング時に身体をしっかりとサポートするシートを装備。 ハイテクデバイスも最高級スペシャリティカーにふさわしいもので、オートスピードコントロールなど、斬新な装備が数多く採用されている。日本初となるオートボリュームコントロールによるスーパークオリティサウンドシステムなど、当時としては図抜けた快適性装備を誇った。 さらにこのSF-Lでは、乗車人数や荷物などの積載条件に伴う車高変化を防ぎ、車高を一定に保つ国産車初のオートレベライザーを採用するなどの革新性も持っていた。