日産レパード280X・SF-L(昭和55/1980年9月発売・HF30型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト113(最終回)】
新機軸が目立つも旧弊なL型エンジンがネックに
搭載されたエンジンは、レパード全体のラインナップではZ18型、L20E型、L28E型の3種類となっていた。280X・SF-Lには最も高性能なL28E型が搭載された。これに電子制御燃料噴射装置のECCSとの組み合わせで、145ps//5200rpmの最高出力を発生している。 スペックとしてはけっして悪いものではない。ただし、斬新なスタイリングに対して、上級グレードに搭載されるのが直6とはいえ、L28型だったのは新鮮さに欠けた感はいなめない。 トランスミッションは、5速MTとニッサンマチックと名付けられた3速ATをチョイスすることができた。
サスペンションは日産が得意としてきたフロント:ストラット、リア:セミトレーリングアームの4輪独立式で、当時としては最善の組み合わせと言える。フロントのサスペンションジオメトリーは、ゼロスクラブとしてある。 こうすると、操舵するとホイールはタイヤの接地中心を軸に回ることになり、走行中はステアリング操舵力が軽く、キックバックは少なくなる効果がある。 合わせてステアリングギアボックスはラックアンドピニオン式とし、スチールラジアルタイヤを採用したことで、優れた操縦安定性を実現した。 ブレーキシステムはフロントにベンチレーテッドディスク、リアにディスクという組み合わせだ。さらに大型マスターバックを装着することにより踏力を軽くしつつ信頼性を高めている。 昭和56(1981)年7月には、ターボモデルが追加された。L20ETというおなじみのエンジンだが、初めてECCSと組み合わされた。145psという最高出力値こそ変わらないが、追い越し加速や燃費などが向上した。 この後レパードは昭和59(1984)年6月にVG30ターボを積んだ最強バージョンも登場したが、すでにモデル末期。2代目への橋渡しの感もあった。とはいえ、レパードの登場で、日本のスペシャリティカーの定義は変わった。高級スポーツカーと呼びたくなる革新的な1台だった。
日産レパード280X・SF-L(HF30型)諸元
●全長×全幅×全高:4630×1690×1335mm ●ホイールベース:2625mm ●車両重量:1290kg ●エンジン型式・種類:L28E・直6SOHC ●排気量:2753cc ●最高出力:145ps/5200rpm ●最大トルク:23.0kgm/4000rpm ●トランスミッション:5速MT ●タイヤサイズ:195/70HR14 ●新車価格:262万円
Webモーターマガジン