世界各国が“誤審ピック”にブーイングも「フランスメディア」はどこ吹く風…柔道「篠原信一氏」が涙を呑んだ「世紀の誤審」はなかったことに…
東スポの記事を引用
日本の鈴木桂治監督は審判に抗議。これを日本のメディアは「議論は平行線だった」と報道した。一方、ル・モンドは鈴木監督の発言として「審判は自分たちのミスを認めた」と伝えている。 「橋本選手は指導3つで反則負けとなりました。ル・モンドは東スポの記事を引用し、日本では『審判によって判定が違いすぎる』、『国際柔道連盟から脱退すべき』、『空手と柔道は、外国人に有利なポイントスポーツになってしまった』と批判の声が上がっていることを紹介しました(註2)」(同・ジャーナリスト) 村尾選手の場合は決勝戦が「誤審」を取り沙汰された。彼の内股が技ありと認められなかったことに異論が殺到したからだ。もし技ありだったら、合わせ技一本で村尾選手は金メダルを獲得していた。 「ル・モンドはノンフィクション作家の門田隆将氏がXに投稿したポストを紹介しました。門田氏を『保守的な傾向のエッセイスト』と説明し、彼が女性審判を『平凡な審判の技量』と批判、『アスリートにとって残念だ』と苦言を述べたと伝えたのです(註:原文は《ここまで審判の技量が劣ると選手が哀れ》)。ル・モンドはロンドン五輪でも似た議論が起きたと指摘し、読売新聞の報道を引用しました(註3)」(同・ジャーナリスト)
ルーレットと「世紀の誤審」
読売新聞の記事によると、日本は「正しく組んで一本を取る」という“美しい柔道”が常に目標。強化合宿でさえ指導狙いの戦術や、背中を掴むといった変則的な技を教えることは皆無だという。 ル・モンドは《これらの議論は、2021年の東京オリンピックでは提起されなかった》と書くなど、メダルの数が誤審問題に大きな影響を与えたのではないかと案に指摘している。東京五輪の金メダルは9個だったが、パリでは3個だった。 他にも日本で柔道の競技人口が減り続けていることや、講道館が“改革”に後ろ向きだということも、誤審議論が起きた背景にあるとした。読みようによっては「柔道で勝てなかったから、日本人は審判のせいにした」とでも言いたげな書きぶりである。 さらに、8月3日に行われた柔道の混合団体も議論が白熱した。日本とフランスは6人の選手が激闘を繰り広げ、3勝3敗の同点。勝敗の行方は代表戦に持ち込まれた。代表はデジタルルーレットによる抽選で決まったのだが、これが日本では「イカサマ臭満載」などと、非常に評判が悪かった。 「フランスの『RMCスポーツ』は、デジタルルーレットが動いた時、会場がどのような雰囲気だったのか伝えました。そこで興味深いのが、取材したのがアトランタとシドニーの五輪で金メダルを獲得した、ダビド・ドゥイエ氏だったのです。ドゥイエ氏と言えば、シドニーで篠原信一氏と決勝で対戦し、『世紀の誤審』が原因で篠原氏が敗れたことがあまりにも有名です。日本で“インチキ”と話題になったデジタルルーレットの記事で、誤審騒動の当事者が取材に答えたわけですから、これは奇縁と言えます」(同・ジャーナリスト)