一級建築士が見た、二世帯住宅で孤独を生む「危ない間取り」
日本の住まいの満足度は33%……不満の理由は”間取り”でした。一見すると、おしゃれで素敵そうに見える間取り。でもそこには大きな落とし穴が隠れていることも。住んでみないとなかなか見えてこない隠れた暮らしにくさ。『この間取り、ここが問題です!』では、いままで3000件以上の間取りを診断してきた一級建築士・船渡 亮氏が、25の具体的な間取りからその問題点を指摘。より住みやすい間取りを提案します。 【間取りを見る】一軒家を1LDKに!? 人気建築家が選んだ「子どもも大人も楽しめる」驚きの間取りアイデア
「食事中はテレビ見ない派」も知ってほしい
夫が公務員、妻は専業主婦の岸さん夫妻は、1階を親世帯、2・3階を子世帯(本人たち)とした二世帯住宅を計画しています。ワンフロアをなるべく広く見せるために、主寝室とLDKの間は3枚引き戸で仕切り、普段は開け放して開放的に過ごすのが希望です。この間取りでは広い主寝室とLDKが一体的に使えるように計画されており、岸さんも気に入っていました。 テレビは、リビングと主寝室からしか見えない位置に配置されていますが、食事中は家族で会話を楽しみたいので、テレビは見られなくてよいと考えています。子供は、テレビを見ながらだと食事に集中できないことが多いですし、私たち家族も平日は食事中にテレビを見ないようにしています。 そう考えるのであれば、特に問題はなさそうですが、じつは3つの問題点があります。 <依頼人の家族構成> ■ 夫:公務員(40 代)、妻:専業主婦(30 代)、 &nbsp; 長男(2)、次男(0) ■ 家事分担:夫は洗濯・食器洗い、妻が料理・掃除 ■ 洗濯方法:乾燥機、室内干し ■ 浴室・脱衣室・玄関は1階の親世帯と共用。 &nbsp; 3階に子供室
家族の会話に入れない孤独とストレス
1つ目は、キッチンからテレビが見られないことです。料理や食器洗いのタイミングにも よりますが、食事前後に他の家族がテレビを楽しんでいる(お笑い番組を見て大笑いしている・ スポーツの日本代表を応援している)時に、一人で料理や食器洗いをするのは疎外感を感じますし、他の家族も気を使います。家族がいない時にするなら関係ないですが、それではプライベートの時間を削ることになります。「ながら」で家事できる間取りのほうが家事時短できます。 2つ目は、リビングとダイニングにいる家族が会話しにくいことです。L・Dは独立した部屋にすることもありますが、岸さん自身は会話できることを希望していました。 3つ目はスタディスペースまで廊下が無駄(用途がない)に見えることです。 4つ目は、LDKから主寝室のベッドが丸見えであることです。毎日、ベッドメイキングするならいいですが、普通はベッドが見えると雑然とした印象になります。