「減税したら税収が増えるというのは幻想」 過去にアメリカも大失敗…「現在よりもインフレで苦しむ人が出るリスクも」
「リアルな壁」
【前後編の後編/前編を読む】「103万円の壁」引き上げで手取りはどれだけ増える? 所得税20%の人は「無条件で15万円アップ」 【写真を見る】サンタやバニー、チャイナドレスに美ワキ、ねっとりな関西弁も…玉木代表が溺れたお相手のグラドル時代 国政のキャスティングボートを握った国民民主党の玉木雄一郎代表(55)の政策で注目された「103万円の壁」に加え、「106万円の壁」や「130万円の壁」まで……。多数存在して混乱させられる“壁問題”の本質は何なのか。全ての就業者必読の完全解説。 ***
前編【「103万円の壁」引き上げで手取りはどれだけ増える? 所得税20%の人は「無条件で15万円アップ」】では、日本の基礎控除がこれまで引き上げられてこなかった理由や、実際に103万円の壁が引き上げられることで、具体的にどの程度手取りが増えるのかについて解説した。 「103万円の壁」や「150万円の壁」は税金に関する壁である。目下、それらに加えて、社会保険(健康保険と厚生年金保険)に関する壁である「106万円の壁」や「130万円の壁」まで取り沙汰されているのだから、頭が混乱しない方がおかしい。 「103万円の壁」については、超過分に対して所得税がかかるだけのため、パートタイム労働者本人の手取りへの影響は軽微である。一方、「106万円の壁」や「130万円の壁」はそこを超えると、十数万円の社会保険料などを払わなければならず、手取りに影響するため、「リアルな壁」とも表現される。
“4分の3基準”とは
社会保険への加入を巡っては元々、「働く時間と日数の両方が常時雇用者の4分の3以上である場合には社会保険に加入する」とした“4分の3基準”が存在する。 「2016年以降、アルバイト・パートの社会保険への加入が拡大し、『4分の3基準』を満たさなくても週20時間以上働く場合には、社会保険に加入するようになりました。当初は501人以上の会社からスタートし、24年10月からは51人以上の会社も対象になっています」(特定社会保険労務士の稲毛由佳氏) その要件というのは、 「月収8万8000円以上(年額約106万円)で、1週間の所定労働時間が20時間以上。51人以上の会社で2カ月を超えて継続して働く見込みのある、学生以外のアルバイト・パートは、自分で社会保険に入るわけです。扶養だった妻はそうして自分で社会保険に入った時点で、夫の健康保険上の被扶養者資格はなくなります」(同) その節目が「106万円の壁」と呼ばれているわけだ。