じつは、はるか沖合で起こる「山体崩壊」で大災害が起こる…日本海の孤島に残る「噴火・崩壊」の現場と、「無視できないリスク」
山体崩壊における、防災上の重要問題
火山体の崩壊は頻度は低いものの、ひとたび発生すれば甚大な災害となり得る点で、低頻度大規模な火山現象と見なされる場合が多い。 しかし明治期以降の国内の事例(1888年の磐梯山[ばんだいさん]の山体崩壊)や近年の海外の事例(1980年の米国セントヘレンズ火山、1997年および2003年スフリエールヒルズ火山、2018年アナク・クラカタウ島の山体崩壊など)を振り返ると、津波も含めたそのリスクは決して無視できないように思えてならない。 江戸時代と比べれば格段に科学が進歩した現代では、火山噴火の推移をほぼリアルタイムで把握できるレベルに達しつつある。しかし、現代の日本列島で渡島大島と同様の現象が起きた時、果たして即時的に検知し、災害をより軽減することができるだろうか? 過去の山体崩壊や津波の発生過程の調査研究はもちろん重要だが、観測体制の整備、リスク評価など課題はまだ多く残されている。 * * * このように、海の向こうからやってくる大津波の原因には、噴火活動による山体崩壊が潜んでいました。発生頻度が高く無いという観点から、これまで脇役的にみられてきた山体崩壊ですが、じつは、最も多くの犠牲者を出してきた現象のひとつです。次回は、この山体崩壊の起こるメカニズムについての解説をお届けします。 島はどうしてできるのか 火山噴火と、島の誕生から消滅まで 島……その創造と破壊から、地球の姿が見えてくる
前野 深(東京大学地震研究所准教授)