まずは党内ガバナンス 野田新体制で立憲民主党の今後は
「報道部畑中デスクの独り言」(第385回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は「立憲民主党の今後」について。
自民党総裁選挙に先立ち、9月23日、立憲民主党の新代表が野田佳彦氏に決まりました。東京プリンスホテル鳳凰の間で行われた臨時党大会。各候補のいで立ちですが、ネクタイは紺と茶を基調とした柄物が野田佳彦氏。紺のドット柄が枝野幸男氏。黒に見える紺のモノトーンが泉健太氏。そして、吉田晴美氏はオレンジのブラウスは着ていたものの、ライトグレーのジャケットで色味を抑えていました。能登豪雨災害への配慮とみられます。 冒頭では各候補による約7分間のスピーチが展開されました。 「党勢拡大のための代表選ではない。政権を取るための戦いにしなければいけない」 こう訴えたのは首相経験者の野田氏。自らを含めた議員の落選経験、旧民主党政権から下野した後の体験を「夜の闇と夜の冷たさを知っている」と表現しました。 「いまこそ国民の期待を受け止め、政治不信を克服しなければならない。私たちこそが正念場だ」 立憲民主党の“創設者”枝野氏は「国民が求めているのは右とか左とか、保守とかリベラルとかいう古いレッテルではない」と述べ、党の持つイメージの払拭に努めていました。 「総選挙に負けてからの党運営は過酷な試練の連続だった。党勢は徐々に回復してきた」 現代表の泉氏は党勢回復の実績を強調。「党を割らない、仲間を大切にする責任をもって、この党を率いる」と述べ、党内融和を訴えます。 「徹底的に生活支援。自民党との明確な対立軸を示さなければならない」 1回生の吉田氏は教育の政策の最重点に。「ジェンダー平等を掲げるわが党で女性候補が出ないという選択肢はない」と述べ、立候補するまでの苦悩を述べました。
1回目の投票ではポイントが野田氏267、枝野氏206、泉氏143、吉田氏122。地方票では枝野氏が71ポイントで、野田氏の58ポイントを上回り、枝野氏は決選投票に希望をつなぎました。客席は終始静かに結果を見守っていましたが、結果発表で唯一「オー」と小さな歓声が上がった場面がありました。それは議員票と公認候補予定者票の合計で泉氏が84ポイントで、枝野氏を1ポイント上回ったことが判明した瞬間でした。泉氏は3位に沈みましたが、ここに現代表の意地を感じました。 過半数に至った候補がおらず、決選投票に。地方議員や党員・サポーター票が計上され、計740ポイントだった1回目の投票とは違い、決選は都道府県票47ポイント、国会議員、国政選挙公認候補予定者を加えた417ポイントに。より国政選挙関係のウェイトが大きくなります。 その結果は野田氏232、枝野180。当選が決まった瞬間も野田氏には笑顔はなし。一方、枝野氏は自分に結果を言い聞かせるように細かくうなずいていました。 「急がなければならない。戦いの準備を進めていく。きょうからノーサイド挙党態勢で政権を取りに行こう」 野田新代表の決意表明の後、「ガンバローコール」で臨時党大会は終了となりました。 党大会が終わった後の野田新代表の記者会見は、選挙戦からひとまず解放されたからか、私にはやや“放心状態”に見えました。記者の質問にも短く答えることが多かったように思います。私もこのような質問を繰り出しました。 (畑中)立憲民主党が政権を目指すのであれば、ガバナンス(統治能力)の構築が何よりも重要だ。旧民主党時代、党が分裂したり、“決められない政治”というレッテルも貼られた。同じ轍を踏まないために、野田さんはこれからどうされていくのか? (野田)2012年で政権を手放して以降、12年経って、その後立憲民主党に至るまで民進党なども経験してきたが、それぞれに過去の反省があると思う。その意味では、一度決めたことを反したことをするとかという政治文化はずいぶん消えてきた。その意味では成長していると思う。もちろん、そのためには丁寧な議論をして意思決定をしていきたい 野田代表は“成長”を強調する中、今後については「丁寧な議論」と言葉少なでした。緊張から解放された直後で、やや難しい質問だったかもしれません。 新代表決定前にこんなことがありました。決選投票が終わり、閉鎖された議場が開放され、多くの人がどっとお手洗いに繰り出しました。私も行列に並んだのですが、偶然にも私の後ろには野田氏が待っていました。伏し目がちな野田氏に声をかけてみました。 「緊張……ですか?」 「そりゃそうですよ」