超高齢化社会にはびこる過剰な洗脳、“迷惑死”を恐れ片づけに苦悩「命が縮まる終活」
生きるための終活以外は必要なし!
孤独死を過度に恐れる風潮もあるが、和田先生はこれにも異を唱える。 「孤独死とは誰にも看取(みと)られることなく死ぬことをいいますが、裏を返せば、直前まで元気だったということ。いわゆるピンピンコロリですから、喜ぶべき話ではないでしょうか。 逆に、認知症などで要介護状態になれば、ヘルパーの介助が必要となりますから、孤独死など無理。そのほうがいい、という人はおそらくいないはずです」 死を恐れれば恐れるほど、人生の幸福度は下がるという。 どれだけ用意周到にしていても、そのとおりに死ねるとは限らない。であれば、終活をするより〈死ぬときに後悔しない生き方の心得〉を意識して、残りの人生を充実させたほうがいいと和田先生は言う。 「健康を気遣い、食べたいものやお酒を我慢しても、残念ながら死ぬときは死にます。実は〈太めの人のほうがやせ型の人より6~7年長生きする〉というデータもあり、我慢することが必ずしも正解とは限らないのです。 高齢者は人生が残り少ないからこそ、我慢せずにやりたいことをすべき。同じ準備をするなら、この世に存在しなくなってからのことより、生きている間のことを考えて、今を充実させましょう」
終活よりも意識したい死ぬときに《後悔しない生き方》の心得
ご 極上の死を迎えるために、自分が納得のいく生き方を貫き通す く 苦しいことや煩わしいことは、できるだけやらない じ 自由気ままに暮らす。我慢すると心身ともに老化が加速する よ 要介護になったら残された機能と介護保険をフルに使い、人生を楽しむ う うかつに医者の言うことを信じない。治療も薬も選ぶのは自分 の 脳と身体を使い続けて、認知症と足腰が弱くなるのを防ぐ し 死を恐れれば恐れるほど、人生の幸福度は下がる に 人間関係が豊かなほど老いは遠のく。人付き合いが億劫になったらボケる か 身体が動かないとき、意欲が出ないときは「なんとかなるさ」とつぶやく た 楽しいことだけを考えて、とことん遊ぶ。どうせ死ぬんだから 和田秀樹著『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)より ※タテヨミで「極上の死に方」に話を伺ったのは…… 和田秀樹先生●東京大学医学部卒、精神科医。立命館大学生命科学部特任教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。長く老年医学の現場に携わるとともに、大学受験のオーソリティーでもある。『70歳が老化の分かれ道』『80歳の壁』など著書多数。 齋藤弘道さん●遺贈寄附推進機構 代表取締役。全国レガシーギフト協会 理事。信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。 取材・文/中西美紀