超高齢化社会にはびこる過剰な洗脳、“迷惑死”を恐れ片づけに苦悩「命が縮まる終活」
片づけはやりたい人がやればいいこと
終活に戸惑う声は、SNSにも散見される。 《終活しているつもりなのに、またお店で一目ぼれしたお皿を購入してしまった。物を減らすなんて私には無理》 《終活の一環で、家にこもって押し入れを片づけたら、部屋中に物が散乱。ふと外を見たらいい天気で、出かけたほうがよかったかも、と後悔》 これらの声に代表されるように、多くの人が終活でイメージするのは、片づけ。前出の齋藤さんはこう話す。 「2021年8月、50~70代の男女3000人を対象に実施されたアンケート調査で、興味がある終活の内容を聞いたところ、76%もの女性が〈片づけ・断捨離〉と答えました。しかし、私は終活での片づけの必要性には、疑問を感じています」 終活においての片づけには大きく分けて、自分自身のためのものと、残された人のためのものがある。 「残された人に迷惑をかけたくないからという理由での整理が必要かはわかりません。片づけはどちらかというと自分が気持ちよく暮らすためのもの。 部屋が整理整頓されているほうが気持ちいいならやればいいし、物に囲まれて暮らすのが好きな人はそうすればいい、というだけのことでは」(齋藤さん、以下同)
黒柳徹子も物を減らすことは考えていない
物への執着から離れて不要なものを減らす〈断捨離〉の提唱者である、やましたひでこさん(70)も《終活なんて言葉にまどわされてはいけない》と喝破。 《結局のところ、私たちは誰もが皆、いずれ死ぬ。だから生きていること自体が終活》であり、《若かろうが、年齢を重ねていようが、健康であろうが、病気であろうが、それぞれが生きている今をいかにごきげんにするか》が肝心とブログで述べている。 物を捨てる理由はあくまでも生きている時間の快適さであり、死後を見越してのことではないというのだ。 黒柳徹子さん(90)も《終活なんて私にはできそうにない》《生前整理として物を減らすことは考えていない》と公言している一人。 2016年の雑誌のインタビューでは《中国・広州の動物園で3つ子のパンダが生まれたとき、すぐ現地に飛び、お母さんと3つ子パンダの巨大なぬいぐるみをゲット。でも案の定、家で持て余している》というエピソードを披露。 2022年には『徹子の部屋』(テレビ朝日系)でも、終活に言及。その日のゲストだった松原智恵子さん(79)と浅丘ルリ子さん(83)に「終活とかいうのは、やっていらっしゃらない?」と尋ねたところ、松原さんは「身辺整理みたいなこと?していないですね」と返答。 浅丘さんも「なんにもしてない」と答え、黒柳さんが「私もしていない。みんな、してないんだ」と笑顔を浮かべる一幕があった。 黒柳さんのパンダのぬいぐるみのエピソードのように、周囲から見れば理解不能でも、本人は欲しい、あるいは手元に置いておきたいということは、往々にしてあるもの。 それで気持ちに張りが出るのであれば、買い物を自重したり、物を捨てたりする必要はないのではないだろうか。