超高齢化社会にはびこる過剰な洗脳、“迷惑死”を恐れ片づけに苦悩「命が縮まる終活」
「何より片づけには、気力・体力が必要。気温の高い日に片づけを頑張りすぎて熱中症になるなど、身体に害を及ぼす可能性もあります。ですから自分がしたいならともかく〈残された家族のため〉という理由の片づけはおすすめしません」 それでも子どもに迷惑をかけるのは嫌、という場合、悪質な業者に注意しつつ遺品整理業者に頼むという解決手段もある。 「料金はかかりますが、専門の業者に依頼すれば迅速丁寧に重要なものを分別しながら、不用品を処分してもらえます。残された家族が物の処分で困ることは、実際のところ、ほとんどないのです」
生きるための医療情報は記録しておく
終活は必ずしも必要ではないことがわかるが、その中で「やっておくといいこと」はあるのだろうか? 「おすすめしたいのはエンディングノート。これは人生の終末期における希望や資産情報などを書き留めておくノートで、終活という言葉とともに、一般の人にも広く知られるようになりました。 ただ、市販のエンディングノートを購入した人に話を聞くと、記入する項目の多さに圧倒されて、結局何も書いていないという人がほとんど。 そういう人に私は、『パッと見て気になるところを記入すればいいだけ。すべてを書き込む必要はありません』とお伝えしています。極端な話、1ページ書いたら、あとは放置でもいいのです」と齋藤さん。 〈財産・資産〉〈葬儀・お墓の希望〉〈家族・親しい人へのメッセージ〉など、記入する項目はたくさんあるが、どこを書くかはその人の自由とのこと。 「市販のエンディングノートのいいところは、あらかじめ書く項目が決められていて、穴埋めするだけでよいこと。気になる項目は人によって違いますから、〈やりたいことリスト〉に記入して、それを今後の人生の目標にするもよし。 〈延命治療は受けたくない〉など終末期の医療に希望がある人は、そこだけでも書き込むといいでしょう」
優先して記入したほうがいい項目は何か? 「医療情報です。誰でも脳梗塞や心筋梗塞、事故などで、命はあるけど意識がないという事態に陥る可能性があります。 そういうときに持病やかかりつけの病院、薬の種類などの情報があれば、適切な医療処置をスムーズに行えるので、命が助かる可能性が高まります」 エンディングノートは「生きるための記録」として活用するのがおすすめだ。