なぜ転落…。欧州の「消えた天才」サッカー選手10人。世界中から注目を浴びた神童、名将のお墨付きのFWも
DF:エリアキム・マンガラ(フランス) 生年月日:1991年2月13日 主な在籍クラブ:ポルト、マンチェスター・シティ、バレンシア 現所属:エストリル(ポルトガル) 無敵だった空中戦をはじめ、エリアキム・マンガラの驚異的なアスリート能力の高さに多くのサポーターがロマンを感じていたに違いない。このフランス人CBは名門ポルトで確かな実績を残した後、2014年夏に4500万ユーロ(約63億円)という当時のDFでは史上2番目の高額な移籍金でマンチェスター・シティに引き抜かれた。 1年目からリーグ戦で25試合、2年目も23試合の出場と、マヌエル・ペジェグリーニ監督の下でイングランドでの生活は順調なスタートとなった。ところが2016年夏にジョゼップ・グアルディオラがマンチェスター・シティの監督に就任すると、すべての状況が一変する。 マンガラのアスリート能力の高さは間違いなかったが、スペイン人指揮官が求める足下の技術とサッカーIQは持ち合わせていなかった。そのためすぐに構想外となってバレンシアへとローン移籍で放出されるも、スペインでのパフォーマンスも芳しくなく、買い手がつかないまま契約満了となった2019年夏までマンチェスター・シティに籍を置いていた。 その後、バレンシアへと復帰を果たしたが2021年夏に契約満了となると、半年間のフリーを経てサンテティエンヌへと移籍。そこも半年後に契約満了で退団すると、1年間の無所属の期間を経て昨夏にポルトガルのエストリルと1年契約を結んだ。基本的にはレギュラーでプレーしているが、マンチェスター・シティ時代から顕著になった負傷癖は克服することができておらず、第30節終了時点で半分の15試合の出場に留まっている。エストリルとの契約は今季終了までであり、来季以降の去就は不透明なままだ。
MF:パイティム・カサミ(スイス) 生年月日:1992年6月2日 主な在籍クラブ:フラム、オリンピアコス、バーゼル 現所属:サンプドリア(イタリア) 元スイス代表MFパイティム・カサミが“天才“だったことは間違いない。2014年のFIFAプスカシュ賞にノミネートされたフラム時代に決めた衝撃的なボレーシュートが彼の優れた才能を証明している。 カサミは14歳からプレーしたグラスホッパーからリバプールへのローン移籍を経て、16歳で迎えた2009年冬にラツィオに引き抜かれた。同年10月から行われたU-17ワールドカップで、中心選手としてスイス代表を優勝に導くなど、若くしてその才能に注目が集まっていた。 一方で彼のキャリアは素行不良が原因で伸び悩んでいる。ラツィオでも練習を無断欠席したことでトップチームのトレーニングから外され、わずか1年足らずで母国スイスのベッリンツォーナへと放出された。そのベッリンツォーナでも無断欠席を繰り返したことで契約解除となり、2010年夏に再びイタリアへと戻る形でパレルモと契約している。 キャリア当初で練習の無断欠席を繰り返した神童は、年齢を重ねた後も問題行動を繰り返す。オリンピアコス時代には相手サポーターを不用意に煽ったことで罰金の処分を受け、検察官にも起訴されて懲役8ヶ月の判決が下った。その間にユベントスとのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)戦で決勝点を決めてローマやレバークーゼンなども獲得に興味を示していたが、彼の問題行動でそれらの移籍が実現しなかった。 その後、ノッティンガム・フォレストやシオン、バーゼルなどでのプレーを経て昨夏にセリエBに降格したサンプドリアに加入。アンドレア・ピルロ監督からゲームキャプテンを任されるなど厚い信頼を得ており、チームは昇格プレーオフ圏内を目指して奮闘中だ。現在31歳とまだ老け込む年齢ではない。チームを昇格に導き、もう一度キャリアに花を咲かせることができるだろうか。