森永卓郎「老後の資金を投資で増やそうなんて、絶対に考えちゃダメ」ステージIVの膵臓がん。最期に本当のことをぶちまけようと決めて
◆結婚40年目にして新婚気分に こういうことを言うと、康平(長男で経済アナリストの森永康平さん)に「意見が極端すぎる」と言われてしまいます(笑)。 彼はすでに私よりテレビのレギュラーも多いですし、非常にうまくやっている。メディアに向けてがんを告白した時もサポートしてくれて、康平のYouTubeチャンネルでは対談にも呼んでもらっているんです。 次男はIT技術者で、入院中に口述した本の内容を文字起こししてくれたのも彼でした。また私が愛蔵するコレクション約12万点を展示した博物館も、「自分が引き継ぐ」と。先日もその「B宝館」のホームページを見やすく刷新してくれました。 彼らが子どもの頃、私は忙しさのピークで、東京の事務所に寝泊まりして週末だけ一瞬帰るような生活。家族と接する機会がほとんどなく、康平などは「うちは母子家庭だ」とまわりに言っていた時期があるくらいです(笑)。 それでも私の背中を見ていたのか、こうして仕事を一緒にできたり、趣味の世界を理解してくれるのは嬉しいことですね。 カミさんとも結婚以来40年、ほとんど接触のない暮らしを続けてきたわけですが、今や風呂から上がって着替えをするにもカミさんの手助けがいる。ほかにも生活のあらゆる場面で依存しているので、たぶんカミさんがいなかったら私はとっくに死んでいたと思います。
これは直接言うとたぶん怒られるだろうけれど、結婚40年目にして初めて新婚みたいな気分なんですよ(笑)。 こないだは、近所の西武園ゆうえんちへデートに行きました。「ウルトラマン・ザ・ライド」というアトラクションが私のお目当てだったのですが、ほかにも昭和レトロを売りにしたゆるい感じの乗り物や催しが案外楽しくてね。 スーパーの買い物も、なるべく一緒についていきます。車で出かけて売り場を軽く一周。そうして無理にでも歩かないと、筋肉が落ちてしまいますから。 現在は週2日、ラジオの生放送や執筆の仕事で電車で都心まで通っていますが、それも半分はトレーニングのため。主治医には「よくその体で東京まで行きますね」と驚かれますが、無理にでも出かけないと家から出なくなってしまいます。 とはいえバリアフリーが行き届いていない場所も多く、階段の上り下りはまさに修行。翌日は疲れ切って15時間以上爆睡することもしばしばです。 ここ最近の生きがいであった農業も、今は隣の畑の人に土づくりから植え付けまで代わりにやってもらっています。私は収穫に行くだけなのですが、30分もしないうちに疲れてしまって大変でした。 食べる量も現在はカミさんの3分の1ほど。それでもやはり収穫したての野菜の味は格別。これから夏に向かい、キュウリやナス、スイカにメロンにブロッコリーと、作物が育っていくのが楽しみでなりません。 そうして季節を重ねながら、毎日を大切に、とにかく行けるところまで頑張ってみたいというのが、今の気持ちです。まだまだ世の中に言いたいこともたくさんありますからね。 (構成=山田真理)
森永卓郎
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