北朝鮮が不気味な「新戦略兵器」言及も「非核化」交渉の余地はある?
米国も「フレキシブルにする用意ある」
米国は、北朝鮮の新方針に対してどのような姿勢で臨むのでしょうか。今まで通りの「包括的非核化」一本やりで行くのか、原則を逸脱しない範囲内で核の包括的申告だけは先にし、実行は後にするなど、何らかの工夫をするのか、が問われます。米国は、北朝鮮が繰り返しミサイル発射を行ったことを問題視して、さる12月、国連安保理で北朝鮮を非難した際も、「アプローチの仕方をフレキシブル(柔軟)にする用意がある」と表明していたことが想起されます。 北朝鮮が今回の方針転換により強硬な姿勢を強めたことは否定できませんが、非核化交渉が終わったとの認識でないことは注目されます。金委員長は米国が敵視政策を止めれば交渉を進める余地があることも示唆しています。今年秋の米大統領選挙を控え、両国とも相手方に対する配慮を完全には失っていないのであり、今後、ともに柔軟性を発揮して信頼関係を築き、非核化に向かって進んでいくことが期待されます。
------------------------------------- ■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスタン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹