北朝鮮が不気味な「新戦略兵器」言及も「非核化」交渉の余地はある?
北朝鮮「直ちにミサイル発射」はない?
金委員長が異例の長さの労働党中央委員会総会を開催し、このような重要方針を打ち出したのは、非核化交渉が行き詰まるなかで対米方針を見直さざるを得なくなったからだと考えられます。 経緯的には、前述の最初の米朝首脳会談から非核化交渉が始まり、北朝鮮としては核を段階的に廃棄し、それに応じた制裁の緩和を求める(段階的非核化)との考えで交渉してきましたが、翌年2月のベトナム・ハノイでの第2回首脳会談で、包括的非核化を求める米国とは段階的非核化方式で合意を達成することは困難であることを悟り、その後、12月までと時間を限って妥協の道を探ってきましたが、米国の態度は依然として固く、方針転換せざるを得なくなったのではないかと考えます。 つまり、「米国が包括的非核化にこだわって制裁を緩和しないとしても、北朝鮮としてはあくまで段階的非核化を目指すしかない。経済的に困った状況に置かれても妥協しない」という、いわば持久戦を戦う方針に転じたものと考えます。「非核化すれば豊かな国になれる」と、米国が甘い言葉で繰り返し非核化を促してきたことへの回答という意味合いもあったでしょうが、北朝鮮として「非核化」目標を放棄するとまでは述べていないことは注目されます。 北朝鮮は今後、米国に対して強硬路線に戻り、核と長距離ミサイルの実験を再開することを恐れる声もありますが、金委員長はそのことに言及しなかったようです。「報告」の全文が公表されていないので断定できませんが、少なくとも直ちに実験再開に踏み切るとは思われません。 それより不気味なのは「新たな戦略兵器」であり、それはいったいどのような兵器で、また、どのように運用されるのでしょうか。「戦略兵器」というからにはミサイルや長距離爆撃機のような何らかの兵器運搬手段とも推測されますが、今のところ判断する材料は乏しいと言わざるを得ません。事と次第によっては、今後の米朝関係を左右する新しい大問題になる可能性もあります。