改正障害者差別解消法のためではない? ウェブアクセシビリティに取り組むべき3つの理由
何から始める? ウェブアクセシビリティの第一歩
ではどのようにしてウェブアクセシビリティに取り掛かるべきでしょうか。 障害者ユーザーが利用する支援技術はさまざまですし、サイト自体も頻繁に更新されていくため、アクセシビリティは「常にすべての人や状況に対してアクセシブルに」と考えるととても難しく感じてしまいますが、実は、もっとシンプルなことだと思います。 ウェブアクセシビリティの実現はプロセスであって、「これで完了」となる到達点はありません。重要なのは目標を持ち、できるところから少しずつ取り組むことです。 ■ [ステップ(1)] アクセシビリティチェックツールでサイトを検証する まずは、アクセシビリティを手軽にチェックできるツールで検証することをお勧めします。たとえば、Googleが提供するLighthouse。Chromeブラウザに拡張機能として追加し、自社Webサイトにアクセスし、(または、Chrome DevToolsでLighthouseタブを開き)、監査を実行すると大体1分以内に分析結果を表示します。 この結果を見ると、「このボタンにはラベルが付いていないのでスクリーンリーダーユーザーにボタンの意図が伝わらない」「カラーコントラストが足りないので読みづらい」などの問題点が見えてきます。
Lighthouseは自動的に分析できる範囲でアクセシビリティ状況を見ていくので、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)の2~3割ほどしか確認できません。またサイト全体を通した分析はできないので、ページ単位での分析作業になりますが、これで自社ウェブサイトを確認・修正するだけでもアクセシビリティの向上につながります。
■ [ステップ(2)] アクセシビリティ対応チェック10項目 続いて、具体的なアクセシビリティの対応の10項目を紹介します。 ここでは「4月1日に改正法施行! Webアクセシビリティ改善を進めるには、どうすればいいですか? 植木真さんに聞いてきた」で紹介されていた10項目が参考となります。 1. |見出しやリストなどの文章構造をマークアップする 2. |意味のある画像には代替テキストを提供する 3. |文字と背景色は十分なコントラスト比を確保する 4. |色の違い以外でも情報が伝わるようにする 5. |ユーザーがコンテンツを拡大表示できるようにする 6. |キーボードだけでも操作できるようにする 7. |フォーカスインジケータが表示されるようにする(キーボード操作時、ページ上のどこにいるか、どの要素とインタラクトできるかわかるようにするための目印) 8. |フォーム・コントロールのラベルを提供する 9. |エラーメッセージではエラー箇所を明示する 10. |動画にキャプション(字幕)をつける まずはアクセシビリティに意識を向け、ユーザーのニーズに耳を傾け、できることからやってみるのがアクセシビリティの取り組み方としてお薦めです。できるだけ多くの人が、できるだけ利用しやすいサイト制作に向けてウェブアクセシビリティを一歩ずつ高めていきましょう! 次回は、グローバル展開の観点からウェブアクセシビリティについて考えていきたいと思います。