385センチ×105センチの壁に「正方形のタイル」を隙間なく貼ったときの、「タイルの大きさ」は…? 1センチは除外します
なるほど! そうだったのか、数学。 数学を納得して理解するには、小学校から高校まで学ぶ算数・数学のうち、とくに押さえておくべき「重要キーワード」を一つひとつ理解して、体系的・構造的に学ぶことが大切です。 【画像】じつに、美しい三角形…もっとも神秘的といわれる数列から、黄金比が出現 いまや、数学は、受験対策などの交換価値や、便利な道具として使用価値の有無ばかりが強調されるようになってしまいましたが、本来は、生活経験や体験によって得られた知識をベースにした素晴らしいな思想体系です。そして、その思想は、小学校の算数という初歩の段階から、しっかり流れ続けているのです。 学生のころに新鮮な気持ちで学んだ算数や数学を、いまふたたび深めることこそ、数学の本質に迫る「近道」といえるでしょう。 好評の『なっとくする数学記号』(ブルーバックス)の著者にして、数学教育を知り尽くした専門家による「学びなおし」の決定版『学びなおし! 数学 代数・解析編』。そこで取り上げた数学を理解する29のキーワードから、さらに厳選したトピックをご紹介していきます。 *本記事は、『学びなおし! 数学 代数・解析編 なっとくする数学キーワード29』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
割り算の表記は「÷」を使わない
一つ一つの数の性質はもちろんですが、いくつかの数に関する共通の性質はどうなっているかなどの関係性を調べることで、さらなる数の性質を知ることになり、数への興味が深まるかと思います。 数に関する演算は、足し算、引き算、掛け算、割り算ですが、ここでは掛け算、割り算から見た数の性質ということになります。 いま1年を365日とします。1週が7日ですので、365を7で割ると52余り1ということになります。ここに除法(割り算)が出てきます。 つまり、結果は52週と1日ということです。 算数などでは、「365 ÷7=52…1」とか「365÷7=52余り1」とか書いていますが、あまりいい表記法とはいえません。というのは、割り切れる数の場合の表記は「364 ÷7=52」です。この式は運用するうえで何の支障もありません。しかし、前者は単なる便宜上の表記であり、数学で使用する演算式としては扱えないのです。子どもたちは、演算式なのか表記の方法なのかの統一性がないために、最初は戸惑ってしまいます。 除法記号(÷)という演算記号で処置するには無理があるのです。そこで、余りがある場合を含めての数学的な表記は、除法記号(÷)を使わず、次のようにします。 365=7×52+1 52のことを商といい、1のことを余り(剰余)というわけです。この並びとして、364=7×52とするのは何の問題もありません。それは、364=7×52+0ということですから。 一般には、 ---------- 二つの整数aとb (> 0) を考えたとき、次の等式を満たす整数qと整数r(0≦r<b) がある ---------- ということを次のように表記します。 a=b×q+r0≦r<b ……(ア) 除法記号(÷)はどこにも出てきませんが、これを「除法の定理」と呼んでいます。つまり、aをbで割ったときの商がqで余りがrということです。 これが、二つの数(いまの場合は整数)aとbが与えられたときの関係性の一つです。特に、r=0の場合であるa=b×qのとき、bをaの約数、aをbの倍数といいます。 また、a=1×a, a=a×1ですので、1やaもaの約数に含めます。